日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉄礬ざくろ石」の意味・わかりやすい解説
鉄礬ざくろ石
てつばんざくろいし
almandine
ざくろ石グループの一つで、もっとも普通に産する鉱物。偏菱(へんりょう)二十四面体、斜方十二面体などの結晶形をとることが多い。泥質岩起源のホルンフェルス、片麻岩、結晶片岩、花崗(かこう)岩質ペグマタイト、安山岩、デイサイト、砂礫(されき)岩、堆積(たいせき)物中などから産する。日本では福島県石川地方のものが有名。英名は、小アジアの地名アラバンダAlabandaがなまってできたものとされている。古代、そこではざくろ石をカットしたり研磨したりしていた。和名は化学組成による。鉄礬ざくろ石に苦礬ざくろ石pyropeと満礬ざくろ石spessartineの端成分が固溶したものは、三者の頭文字をとってパイラルスパイトpyralspiteとよばれる。
[松原 聰]