鑞付(読み)ろうづけ

精選版 日本国語大辞典 「鑞付」の意味・読み・例文・類語

ろう‐づけラフ‥【鑞付】

  1. 〘 名詞 〙 融点の低い合金を溶かして金属接合する方法軟鑞付け(=半田付け)、硬鑞付けなど。〔羅葡日辞書(1595)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「鑞付」の意味・わかりやすい解説

鑞付 (ろうづけ)

溶接方法の一種。鑞接ともいう。接合しようとする金属(母材という)の間に母材より融点の低い金属を溶融して流し込み,母材表面との付着力を利用して接合する。このとき接合に用いる低融点の金属を鑞という。鍛金において,方形の箱または桶のような金属容器を接合する際に用いる。鑞材には硬鑞と軟鑞がある。硬鑞は溶融点が450℃以上のものをいい,これ以下のものを軟鑞という。銀鑞の場合は600~900℃で物理的性質が良い。軟鑞は普通はんだ,白鑞と称され,スズ(錫)と鉛の合金をいい融点は180~300℃で物理的性質が悪いが,手軽に接合できるので多く用いられ,われわれの周囲にもよく見うけられる。硬鑞には金鑞,銀鑞,シンチュウ真鍮)鑞,洋銀鑞,四分一(しぶいち)鑞,赤銅鑞,サハリ鑞,銅鑞などがあり,古くは銀鑞が使用された。洋銀鑞を除く鑞については,装剣金工家の秘伝書にも見られる。銀鑞は銀と銅と亜鉛の合金で,銅と亜鉛の量の増減により融点を変化させることができる。鑞付の溶剤には,硬鑞の場合には融点741℃前後のホウ(硼)砂を使用するが,結晶水を除くため,金属板上で焼くか水を入れて煮て粉末にして使用する。近年は融点600℃前後の低融鑞と低融の溶剤が開発されている。金の鑞付には金,銀,シンチュウの合金を用いることが多い。またシンチュウや銅も鑞として用いることがある。鑞付を行う場合二つの金属は鑞より融点の高い鉄の細線で縛るか,八双(はつそう)金具で挟むかし,接合する金属と金属の接面を密着させなければならない。これを縛着(ばんちやく)という。鑞付の技法は古くから使用され,エジプトにその歴史はさかのぼるが,日本にこの技法がもたらされたのは古墳時代になってからである。奈良時代の正倉院宝物中の金銅水瓶,御杖刀などにはその技法が見られる。また細線(金)細工にも鑞付の技法が使用されている。
溶接
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百科事典マイペディア 「鑞付」の意味・わかりやすい解説

鑞付【ろうづけ】

溶接の一種。接合する金属にそれより低融点の金属(これを鑞と総称)を溶かしつけて行う。融点が450℃以下の軟鑞によるものははんだ付けが代表的。融点が450℃以上の硬鑞の場合はホウ砂などを溶剤とし,アーク,ガス炎などで加熱。大量連続的には炉内鑞付も行われる。

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世界大百科事典(旧版)内の鑞付の言及

【溶接】より

…このため溶接を利用する分野も,機械,建築,橋梁,輸送(航空機,船舶,車両),電気,化学,原子力,電子,計測など広い領域にわたり,また超大型構造物からICなどのマイクロ部品にまで利用されている。 溶接はその方法により,接合する材料(母材という)を局部的に溶融状態にして結合,凝固させる融接法(溶融溶接法),母材を溶融に近い状態に加熱しておき機械的に力を加えて接合する圧接法,母材を加熱保持し原子の相互拡散により接合する拡散接合法および母材間に母材より融点の低い金属を溶融して流し込み,母材表面との付着力を利用して接合する鑞付法などに大別される。 溶接はリベット打ちのような機械的な接合に比べると,その接合部(溶接継手という)の強度が高く,軽くて強い構造物や部品を短期間に安価に製作することができる。…

※「鑞付」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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