テルミット法(読み)テルミットほう(英語表記)thermit process

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テルミット法」の意味・わかりやすい解説

テルミット法
テルミットほう
thermit process

アルミニウムが酸化するときにそれより貴な金属の酸化物を激しく還元する現象を利用する製錬法。テルミット原義は,ドイツの化学者 H.ゴルトシュミットによって 1899年に発明された還元剤のことで,酸化鉄粉とアルミニウム粉との混剤である。これに発火剤として酸化バリウムとマグネシウム粉を混ぜて加熱すると急激に酸化して 2500~3000℃の高温に達する。クロムモリブデンなどの製錬の最終工程で,酸化クロム酸化モリブデンを還元するのがその例。クロム還元の場合の化学反応は Cr2O3 +2Al→2Cr+ Al2O3 で,Al2O3鉱滓となる。テルミットにはシリコンフェロシリコンなどを添加する場合もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「テルミット法」の意味・わかりやすい解説

テルミット法
てるみっとほう
thermit process
aluminothermy

金属酸化物とアルミニウム粉末の混合物に点火したときのアルミニウムの酸化反応とその高温を利用し、酸化物を金属に還元する方法。1893年、H・ゴルトシュミットによって発明された。現在はフェロアロイ合金鉄)の製造やレール溶接などに利用されている。フェロアロイ製造法としては電気炉法と比べて建設費は低く、少量生産が可能であり、低炭素製品が得られる。ただしアルミニウムが高価であるから、高価で生産量の少ない、難還元性のフェロアロイ(低炭素フェロモリブデン、フェロバナジウム、フェロコロンビウム、金属クロム)がこの方法で製造されている。

桑名 武・原善四郎]

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