アルミニウムが酸化する際に発生する多量の熱を用いて金属酸化物を還元する方法。アルミノテルミー法aluminothermy process,またこの方法の発明者ゴルトシュミットH.Goldschmidt(1861-1923)の名にちなんでゴルトシュミット法ともいう。金属酸化物にアルミニウム粉末を還元剤として混ぜて点火すると,金属は還元されると同時に,反応熱によって溶けて器底にたまり,インゴットとして得ることができる。古くは鉄の溶接に利用されたが,現在は特殊なフェロアロイ(合金鉄),たとえばフェロバナジウム,フェロニオブなどの製造,金属クロムの製造などに利用される。アルミニウムの初期反応を促進するための着火剤として塩素酸カリウムKClO3を混合する。
執筆者:後藤 佐吉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
テルミット反応を利用した精錬法.酸化しやすい金属粉末と,還元しやすい金属酸化物粉末とを混合して着火すると,金属粉末は酸化物の酸素を奪って燃焼し,酸化物は還元されて溶融金属になる.この金属と酸化物との混合剤をテルミットといい,反応をテルミット反応という.金属粉末としてアルミニウムを使用することが多いが,ケイ素またはフェロシリコンを使用することもある.クロム,コバルト,マンガン,バナジウムの酸化物から金属を得るときの一精錬方法として使用されるが,得られる金属の純度はあまりよくない.また,アルミニウム粉末と酸化鉄粉末のテルミット反応を利用して鉄を溶接する.これをテルミット溶接といい,鉄道のロングレール敷設の際などに使用される.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
金属酸化物とアルミニウム粉末の混合物に点火したときのアルミニウムの酸化反応とその高温を利用し、酸化物を金属に還元する方法。1893年、H・ゴルトシュミットによって発明された。現在はフェロアロイ(合金鉄)の製造やレールの溶接などに利用されている。フェロアロイ製造法としては電気炉法と比べて建設費は低く、少量生産が可能であり、低炭素製品が得られる。ただしアルミニウムが高価であるから、高価で生産量の少ない、難還元性のフェロアロイ(低炭素フェロモリブデン、フェロバナジウム、フェロコロンビウム、金属クロム)がこの方法で製造されている。
[桑名 武・原善四郎]
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