テルミット法(読み)テルミットホウ(その他表記)thermit process

デジタル大辞泉 「テルミット法」の意味・読み・例文・類語

テルミット‐ほう〔‐ハフ〕【テルミット法】

アルミニウムが燃焼する際の高温利用して、金属酸化物から金属を還元析出する方法クロムマンガン・鉄などの冶金やきんなどに利用。1893年にH=ゴルトシュミット発明アルミノテルミット法アルミノテルミー法ゴルトシュミット法ゴールドシュミット法

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精選版 日本国語大辞典 「テルミット法」の意味・読み・例文・類語

テルミット‐ほう‥ハフ【テルミット法】

  1. 〘 名詞 〙 アルミニウムによる金属酸化物の高温還元反応を利用した冶金法。クロム・コバルト・マンガン・バナジウム・ウランなどの冶金、金属酸化物の還元などに用いられる。〔電気工学ポケットブック(1928)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「テルミット法」の意味・わかりやすい解説

テルミット法 (テルミットほう)
thermit process

アルミニウムが酸化する際に発生する多量の熱を用いて金属酸化物を還元する方法。アルミノテルミー法aluminothermy process,またこの方法の発明者ゴルトシュミットH.Goldschmidt(1861-1923)の名にちなんでゴルトシュミット法ともいう。金属酸化物にアルミニウム粉末を還元剤として混ぜて点火すると,金属は還元されると同時に,反応熱によって溶けて器底にたまり,インゴットとして得ることができる。古くは鉄の溶接に利用されたが,現在は特殊なフェロアロイ合金鉄),たとえばフェロバナジウムフェロニオブなどの製造,金属クロムの製造などに利用される。アルミニウムの初期反応を促進するための着火剤として塩素酸カリウムKClO3を混合する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テルミット法」の意味・わかりやすい解説

テルミット法
テルミットほう
thermit process

アルミニウムが酸化するときにそれより貴な金属の酸化物を激しく還元する現象を利用する製錬法。テルミット原義は,ドイツの化学者 H.ゴルトシュミットによって 1899年に発明された還元剤のことで,酸化鉄粉とアルミニウム粉との混剤である。これに発火剤として酸化バリウムとマグネシウム粉を混ぜて加熱すると急激に酸化して 2500~3000℃の高温に達する。クロム,モリブデンなどの製錬の最終工程で,酸化クロム酸化モリブデンを還元するのがその例。クロム還元の場合の化学反応は Cr2O3 +2Al→2Cr+ Al2O3 で,Al2O3 は鉱滓となる。テルミットにはシリコンフェロシリコンなどを添加する場合もある。

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化学辞典 第2版 「テルミット法」の解説

テルミット法
テルミットホウ
thermite process

テルミット反応を利用した精錬法.酸化しやすい金属粉末と,還元しやすい金属酸化物粉末とを混合して着火すると,金属粉末は酸化物の酸素を奪って燃焼し,酸化物は還元されて溶融金属になる.この金属と酸化物との混合剤をテルミットといい,反応をテルミット反応という.金属粉末としてアルミニウムを使用することが多いが,ケイ素またはフェロシリコンを使用することもある.クロム,コバルト,マンガン,バナジウムの酸化物から金属を得るときの一精錬方法として使用されるが,得られる金属の純度はあまりよくない.また,アルミニウム粉末と酸化鉄粉末のテルミット反応を利用して鉄を溶接する.これをテルミット溶接といい,鉄道のロングレール敷設の際などに使用される.

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「テルミット法」の意味・わかりやすい解説

テルミット法
てるみっとほう
thermit process
aluminothermy

金属酸化物とアルミニウム粉末の混合物に点火したときのアルミニウムの酸化反応とその高温を利用し、酸化物を金属に還元する方法。1893年、H・ゴルトシュミットによって発明された。現在はフェロアロイ(合金鉄)の製造やレールの溶接などに利用されている。フェロアロイ製造法としては電気炉法と比べて建設費は低く、少量生産が可能であり、低炭素製品が得られる。ただしアルミニウムが高価であるから、高価で生産量の少ない、難還元性のフェロアロイ(低炭素フェロモリブデン、フェロバナジウム、フェロコロンビウム、金属クロム)がこの方法で製造されている。

[桑名 武・原善四郎]

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