継手(読み)ツギテ

デジタル大辞泉 「継手」の意味・読み・例文・類語

つぎ‐て【継(ぎ)手/接(ぎ)手】

継ぎ手家督家業などを継ぐ人。あととり。
二個の機械部品をつなぎ合わせる部品。ジョイント
木造建築の柱・はり、船のしき水押みおし戸立とたてなどの部材と部材との継ぎ目。また、継ぐ方法。部材を長さ方向結合する場合にいう。
囲碁で、離れている石をつなぐために打つ手

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「継手」の意味・わかりやすい解説

継手
つぎて

機械、建造物の部材を結合する構造の総称橋梁(きょうりょう)、鉄塔ボイラーなど鉄骨、鉄板の結合には、リベットボルトナット、あるいは溶接が使用され、リベット継手ねじ継手、溶接継手などとよばれる。リベット継手には、板の結合部の形態により重ね継手、突き合せ継手など、リベットの配列により一列リベット、二列リベットなどの種類がある。溶接継手はリベット継手に比べて作業が簡単で、リベットと補強材の分だけ重量が軽減される。造船でも溶接技術の進歩によりリベット継手は使われなくなっている。機械部品の結合には、軸と軸を結合する軸継手、管と管を結合する管継手など、多くの継手が使われている。

 木造建築では、継手という呼び方を、柱と柱、梁(はり)と梁などを部材の長さ方向に結合する場合に用いる。接合部には釘(くぎ)やボルト、ナットを使用して固定することが多いが、力のあまり加わらない箇所では、金属部材を使わない伝統的な継手が今日でも行われている。木材の継手には、竿(さお)継ぎ、腰掛けあり継ぎ、追っ掛け継ぎなど多くの継手法がある。なお、柱と梁、筋かいなど方向の違う材料をある角度をもって結合することを仕口(しぐち)といって、継手とはよばない。

[中山秀太郎]


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百科事典マイペディア 「継手」の意味・わかりやすい解説

継手【つぎて】

機械,構造物などにおける二つの部分の結合部。リベットで結合するリベット継手,溶接による溶接継手,ボルト,ナットなどねじで結合するねじ継手がある。機械要素としての継手には管(くだ)継手軸継手などがある。木構造では使用個所に応じ蟻(あり)継手,鎌継手など多種あるが,現在ではほとんど接合金物が使用される。
→関連項目印籠継手太【ぼ】溶接

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「継手」の意味・わかりやすい解説

継手
つぎて
joint

建築物,およびその他の構造物や機械類の部材を結合する方法,またはその接合部のこと。木造建築においては,柱,梁などが直角や,ある角度をなして接合する場合を仕口 (しぐち) と呼んでいる。釘,ボルトなどの使用以外に,昔から木材の巧みな組合せ法が考えられており,金輪継ぎ,目違い継ぎ,腰掛けあり継ぎ,かま継ぎ,竿継ぎ,追いかけ継ぎなどがある。鉄骨,鋼板などの接合においては,ボルト,ナット,それにリベットなどが使われるが,最近では,作業が簡単で重量の軽くなる溶接の進出が目立っている。機械部品の継手には目的別に,軸継手,管継手,ピン継手などをはじめ,溶接継手,リベット継手も使用される。

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世界大百科事典 第2版 「継手」の意味・わかりやすい解説

つぎて【継手】

木材や鉄材など建築物,工作物の部材における長さを増すための2材の接合をいう。基本形式で分けると,2材に枘(ほぞ),枘穴など細工を施す切組み継ぎ,2材を重ね合わせて釘(くぎ)やボルトを打つ重ね継ぎ,2材を突き付けて板を添わせ釘やボルトを打つ添板継ぎ,溶接によって2材を接合する溶接継ぎがある。 日本の木造建築で用いられる伝統的な切組み継ぎはその効用によって,(1)単に長さを増すだけのもの,(2)捩れ(ねじれ)の力に耐えるもの,(3)引張りの力に耐えるもの,(4)引張りと捩れの力に耐えるものに分類される。

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世界大百科事典内の継手の言及

【楣】より

…西欧建築のなかで楣式構造が再び構造的実質を伴って現れるのは,近代の鉄骨や鉄筋コンクリートによるラーメン構造の出現以後のことである。中国や日本の木造建築においては,宋代以後(日本では鎌倉時代以後),柱や束を貫通して相互に固める(ぬき)の採用,複雑・巧妙な継手・仕口の考案により,独自の楣式構造の伝統がつくり上げられた。【福田 晴虔】。…

※「継手」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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