中国,江蘇省蘇州市にある庭園。江南の名園の中でも最も古いものの一つ。旧県城内の南部にある。もともと五代末,杭州に都を置いた呉越王の銭鏐の子,広陵王銭元璙,あるいはその親戚の中呉軍節度使孫承佑の別宅であったといわれる。北宋慶暦年間(1041-48),所有者となった蘇舜欽が,庭園内に亭を建て,古典にちなんで〈滄浪亭〉と名づけたことから著名となった。その後南宋には韓世忠の手に渡り,韓王園と呼ばれ,園も拡大されたが,元代には廃されて僧庵となっていた。明代に復興され,清の康煕年間(1662-1722)には大改修が加えられ今の姿となった。園の面積は約1ha,自然の地形を利用した山水の間に建造物を配し,その間を迂曲する小径で散策できるようになっている。庭内山頂に建つ滄浪亭のほか,池水をはさんで回廊でつながれた観魚処と面水軒など,景勝に恵まれている。また蘇舜欽の〈滄浪亭記〉をはじめ,明代江南の文人,帰有光,文徴明等の碑記の類も園内に多い。
執筆者:秋山 元秀
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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