各種の人工光源について,物の色をどれだけ自然に見せるかという観点から評価した性能。人間は太陽光の下での物の色の見え方をもっとも自然と感ずる。太陽光と違った光の組成をもつ人工光源の下では,同じ物でも違った色に見え不自然と感ずる。例えば,図に示すように蛍光灯は太陽光とはまったく異なったスペクトル(光をプリズムで分光し,各波長に含まれるエネルギーの割合を示したもの)を有する。つまり,光の組成がまったく異なる。初期の蛍光灯はこの差がはなはだしく,ことに赤い色が少なかったので,刺身が黒く見えるという苦情が出た。こういう光源は演色性が低いのである。最近の蛍光灯は,蛍光材料の進歩によりスペクトルが改善され演色性が高まっている。各種光源の演色性を評価する方法も確立してきた。これは,いくつかの試験色について光源による色の見え方の違いを定量的に把握し,演色評価数を算定して評価するのである。色を自然に見せなければならない場所を照明する際には,演色評価数の高い光源を採用しなければならない。例えば,デパートの服地売場などが代表例であるが,製品の検査を製品の色を見て行う工場などでも,光源の演色性に配慮が要求される。
執筆者:川瀬 太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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