漢方を試してみたい時(漢方の基礎知識)

六訂版 家庭医学大全科 の解説

漢方の基礎知識
漢方を試してみたい時
(健康生活の基礎知識)

●漢方医療

 7割以上の医師漢方薬を用いているといっても、やはり、その人の「証」の診断ができる医師にかかることが必要です。

 日本東洋医学会が認定した漢方専門医のいる病院やクリニックなかから探すのもひとつの方法です。また、そこには登録していないけれど有能な医師もいらっしゃいますが、現在では法律で「漢方」を標榜(ひょうぼう)できないので、一般の方が簡単に情報を得ることができない状態にあります。

 ホームページなどで「漢方外来」を謳っているところ(ホームページは広告と見なされていないので多くの情報を得ることができる)を探すという手もあります。

 ただ、薬まで保険でまかなおうとすると、現在の制度では“まず病名ありき”なので、決められたエキス製剤を西洋薬的に処方することになります。そのため個別の「証」に適した漢方薬の配合を組み立てることは難しいかもしれません。そうなると漢方薬は自費で、ということになります。

●漢方薬局

 病院やクリニックは「漢方」を標榜できませんが、薬局では「漢方薬」を掲げることができます。したがって日本では漢方薬局のほうが探しやすく、また「証」にピタリと合う漢方薬に出会う確率が高いのではないでしょうか。

 保険は使えないので、全額自費になります。しかし、健康保険の自費分のように低くはなりませんが、標準的な漢方薬は決して高くはありません。ところが市場にはやたら高額なものも出回っており、そういったものを最初から単品メインにすすめるところは要注意です。

 「相談薬局」を標榜している薬局がよいでしょう。しかし規模の大きくないところは、インターネット上にホームページをつくっていないところもあるので、薬剤師会などに問合せてください。紹介本などもありますが、そういったものに載っていないところで優れた薬局も多くあります。

 「相談薬局」では、漢方薬に詳しい薬剤師が症状や生活習慣、体質などを詳しく聞いて適切な漢方薬をすすめてくれるはずです。

 その結果、漢方薬の能書にある効能効果とは違ったものをすすめる時がありますが、それはその時の体の状態から考えて適切なものであればよいわけで、これが逆に保険調剤であれば、適応症にないと保険が認められない、ということになってしまいます。

 たとえば葛根湯(かっこんとう)は一般的にかぜ薬と思われていますが、本来かぜ薬ではありません。初期のかぜにも効きますが、本来は違う目的で使われます。

 漢方薬は繰り返しになりますが、その時点での体内バランスの乱れを元の健康な状態にもどすことで現れた症状を消す、という考え方を根本にしています。したがって“病名ごとに効く漢方薬”という概念は適切ではありません。

 このことが広く理解されるようになれば、漢方は日本人の健康増進に大きく貢献できるようになるのではないでしょうか。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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