かぜ薬(読み)かぜぐすり

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

かぜ薬
かぜぐすり

感冒、インフルエンザ、かぜ症候群の対症療法に用いられる薬。一般用薬として薬局、薬店で処方箋(せん)なしで求めることができる。一般的にかぜの症状には、悪寒(おかん)、発熱、鼻みず、鼻づまり、のどの痛み、咳(せき)、痰(たん)、頭痛、関節・筋肉の痛みなどが現れる。これらの症状を緩和させるため、かぜ薬には主として解熱鎮痛剤、鎮咳(ちんがい)去痰剤、抗ヒスタミン剤が用いられ、これにカフェインやビタミンを加え、さらに生薬(しょうやく)あるいは生薬エキス、または漢方処方を配合したものがある。最近は消炎酵素を配合したものも市販されている。
 解熱鎮痛剤としてはアセトアミノフェンがもっとも多く使用されており、エテンザミド、サリチルアミド、アスピリンアルミニウム、ブセチンなどが配合されている。抗ヒスタミン剤ではマレイン酸クロルフェニラミンがほとんどの市販かぜ薬に配合され、そのほか酒石酸アリメマジン、塩酸イソチベンジル、塩酸トリプロリジンが用いられる。鎮咳去痰剤ではdl‐塩酸メチルエフェドリンが多く配合され、ノスカピン、クエン酸カルベタペンタン、臭化水素酸デキストロメトルファン、リン酸ジヒドロコデイン、チペピジン、グアヤコールスルホン酸カリウム、グリセリンモノグアヤコールエーテル、クロベラスチンが用いられている。多くのかぜ薬の処方には、体力の消耗を防ぐ意味で、カフェインまたは無水カフェイン、ビタミンC・B1・B2、ヘスペリジンが配合されている。生薬では、消炎作用をもつ甘草(かんぞう)、去痰作用のある桔梗(ききょう)、セネガ、鎮咳作用のある麻黄(まおう)のほか、桂皮(けいひ)、牛黄(ごおう)、蒼朮(そうじゅつ)、生薑(しょうきょう)が、生薬のエキス剤として桜皮(おうひ)エキス、地黄(じおう)エキスが配合される。漢方処方では葛根湯(かっこんとう)が有名であるが、そのほか桂皮湯、小柴胡湯(しょうさいことう)、香蘇散(こうそさん)、麻黄湯、小青龍湯(しょうせいりゅうとう)、柴胡桂皮湯、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などがよく用いられる。消炎酵素では塩化リゾチームやセラチオペプチダーゼを配合したものが市販されている。
 従来、ピリン系、非ピリン系の2種に分類されたかぜ薬であるが、ピリン系のアミノピリンに発癌(はつがん)性が認められ、一般用薬での使用が禁止され、一般用薬としてのかぜ薬は非ピリン系のみとなった。かぜ薬には抗ヒスタミン剤が配合されているため、服用時に眠気を催すことがあるので注意を要する。単独の製剤ではアスピリン製剤がいまだ多く使用されている。剤形としては錠剤、カプセル剤、シロップ剤が多く、持効性の製剤もある。[幸保文治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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