(読み)ぬれ

精選版 日本国語大辞典 「濡」の意味・読み・例文・類語

ぬれ【濡】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ぬれる(濡)」の連用形名詞化 )
  2. 濡れていること。
    1. [初出の実例]「道の露けさもいと所せし〈略〉女君のかかるぬれをあやしと咎め給ひぬべければ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕霧)
  3. 色事。情事。恋愛。また、色めいていること。なまめかしいこと。
    1. [初出の実例]「ぬれ 当世の名目なり。惘(ほれ)たる㒵(かたち)なり。おもひよりたる風情を、しなしいひなす処をさしていふ」(出典評判記・色道大鏡(1678)一)
  4. 恋人愛人いろ間夫(まぶ)
    1. [初出の実例]「間夫(マブ)をぬれととなへて」(出典:洒落本・浪花色八卦(1757)桐薹卦)

ぬらし【濡】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ぬらす(濡)」の連用形の名詞化 )
  2. ぬらすこと。また、ぬらしたもの。
  3. 相手のよろこぶように色めかしい言語動作をすること。
    1. [初出の実例]「かしこき人は心さとく口ききたるままに、よきかげんなるぬらしをしかけ」(出典:評判記・難波物語(1655))
  4. ( 「焼く」を、「火」と反対の水の縁語でいいかえたもの ) 嫉妬。また、嫉妬ぶかい人。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「濡」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 17画

[字音] ジュ・ジョ・ダン
[字訓] うるおう・ぬれる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は需(じゅ)。需に請雨の意があり、濡染の意がある。〔説文十一上に水名とするも、〔詩、風、羔裘〕に「羔裘(かうきう)濡(うるほ)ふが如し」とあって、濡沢のあることをいう。

[訓義]
1. うるおう、うるおす。
2. ぬれる、しめる。
3. おだやか、やわらか。
4. くだし、ゆばり。
5. とどこおる。

[古辞書の訓]
名義抄〕濡 ヒタス・ヌラス・ウルハシ・アタタカナリ・ウルフ・カス・ヤハラカナリ・ススグ 〔字鏡集〕濡 アタタカナリ・ウルフカス・ヤハラカナリ・トドコホル・ウルハシ・カス・ウルフ・ヌラス・ヒタス・ミヅ・スル

[熟語]
濡化・濡・濡魚濡毫濡湿濡弱・濡首・濡潤濡脣・濡跡・濡染・濡濡滞・濡沢・濡遅濡霑濡忍・濡筆・濡沃
[下接語]
涵濡・洽濡・滋濡・柔濡・霑濡・和濡

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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