火災が発生したときに、自動的にこれを感知する器具。事務所ビル、デパート、ホテルなどの建物に消防法に基づいて設置されるものが多く、おもに建物の天井面に取り付けられる。熱感知器と煙感知器に大別され、このうち熱感知器は作動機構により差動式と定温式に分けられる。差動式は、温度が急激に上昇したときに作動し、緩やかに上昇したときは作動しない。定温式は、一定の温度になると作動する。差動式にはスポット型と分布型があり、今日よく使われているスポット型は、感知器の空気室内の空気が温度により膨張し、ダイヤフラム(薄い波板の金属)を変位して電気接点を閉じ、受信機に電流を送り火災を通報するものである。煙感知器は大別するとイオン化式と光電式に分けられる。イオン化式は、対向した二つの電極間に流れるイオン電流が、火災の煙に含まれる微粒子の付着により減少する性質を利用したもの。また光電式(散乱光式)は、煙に含まれている微粒子が光源から放射される光束によって乱反射をおこすことを利用し、散乱光を電気的にとらえるものである。
[岸谷孝一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…近代には,利用できる材料の増加,機械力・技術力の進展から上述の手法に加えて新しい防火手法が発達した。たとえば,可燃材料に化学的な処理をして燃えにくくすること(難燃処理)や,人がいなくても火災を見つけたり(火災感知器),自動的に消してしまう(自動消火設備)などの手法である。以上の防火手法をまとめて表に示す。…
※「火災感知器」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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