改訂新版 世界大百科事典 「電気接点」の意味・わかりやすい解説
電気接点 (でんきせってん)
electric contact
スイッチ,リレー,遮断器,接触器など,電気回路を開閉する装置の中で直接開閉の役目をする部品で,例外を除いて接点で電流を切ったり入れたりする。もっとも多く使われる形式の開閉接点は,対象とする電流,電圧,開閉回数によって大きさ,形,材料,接触力,開離速度などが大きく異なり,通信用と電力用とに分かれる。開閉接点は二つの金属片を機械的につけたり離したりするきわめて単純な構成のものであるが,そこで生ずる現象はさまざまである。金属の表面には,通常,酸化物や汚れなどの不導体層があるために,金属どうしが接触するには不導体層を力で除くか電気的に壊すかするが,どちらもできないと接触不良になる。通信用接点では力が弱く,電流,電圧も小さいために,表面に不導体層を生じにくい金などの貴金属を用いる。接点で切断する電流,電圧が,ある限度を超すと放電を生じて接点のところでエネルギーが消費され,それによって金属が蒸発して接点が消耗する。火花,アーク,グロー放電の中でアーク放電のエネルギーがとくに大きい。しかも大電力ではアークが切れなくなるので,アークの消去にくふうがなされる。また,蒸発温度の高いタングステンやモリブデンなどの金属を用いたり,高真空中や六フッ化硫黄ガス中で開閉したりもする。開閉はせず,随時の接続を目的とするコネクターやプラグとコンセントの接点は静止接点という。電車のパンタグラフと架線の接触部やモーターの整流子も接点の範囲に入り,これらはすり接点に含まれる。
執筆者:谷井 琢也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報