火球(読み)かきゅう

精選版 日本国語大辞典 「火球」の意味・読み・例文・類語

か‐きゅう クヮキウ【火球】

〘名〙
① 火の玉。
※造化妙々奇談(1879‐80)〈宮崎柳条〉一〇「只是れ一大火球(クヮキウ)(〈注〉ヒノタマ)にして、誰か得て其体質(どんなもの)たるを知らん」
流星の中で、特に光度の強いもの。ふつう、金星以上の明るさのものをいう。時に大気中で爆発して大きな音を出したり、飛んだ経路上に光る条痕を残すことがある。
宇宙旅行(1940)〈光川ひさし〉八「大きな隕石が落ちてくる時は、雷のやうな大きな音を立てて、火の玉になって落ちて来ることがあります。かう云ふのを特に火球(クヮキウ)と呼んでゐます」

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デジタル大辞泉 「火球」の意味・読み・例文・類語

か‐きゅう〔クワキウ〕【火球】

火の玉。
流星の、特に明るいもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「火球」の意味・わかりやすい解説

火球
かきゅう

とくに明るい大流星。火の球が飛ぶように見えるというところからきた名である。どのくらいの明るさ以上のものを火球とよぶか厳密な定義はないが、空に見える星のなかでもっとも明るい金星(マイナス4等級)よりも明るいものをいう場合が多い。

 流星群のなかに火球とよばれるような明るいものが現れることもあるが、概して単独で現れるものが多く、途中で爆発したり、火の粉を振りまくように分裂したり、また著しい痕(あと)を残したりするものも多い。なかには大きな爆音をとどろかすものもあるが、とくに著しいのは隕石(いんせき)となって地上まで落下するような場合で、夜でも真昼のように明るくなるほどの大火球が現れ、大砲のような大音響を伴うことが多い。

村山定男]

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改訂新版 世界大百科事典 「火球」の意味・わかりやすい解説

火球 (かきゅう)
bolide
fire ball

明るい流星を一般に火球と呼ぶ。星の光度等級で0等星よりも明るいもの,あるいは惑星の中でもっとも明るい金星(-4等)より明るいものをいうなどの習慣もあるが,明るさについて厳密な定義はない。まれには満月よりも明るいものも現れ,また火球出現後に大音響を伴うものもある。いわゆる隕石となって地上まで落下するような場合には,たいていこのような爆鳴火球が目撃される。近年,アメリカ,カナダヨーロッパなどで多くの自動カメラを用いて火球の軌道が研究されており,隕石のように小惑星起源と思われるものも,すい星起源と思われるものも多いことがわかった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「火球」の意味・わかりやすい解説

火球
かきゅう
fireball

流星のうち光度が-4等級よりも明るいものをいう。飛行中に爆発したり,分裂したりすることも多い。明るいものは昼間でも見えることがある。燃え尽きず地上にまで達したものが隕石である。

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百科事典マイペディア 「火球」の意味・わかりやすい解説

火球【かきゅう】

流星の中で,特に明るく,飛行速度もゆるやかなもの。ときに大気中で音をたてて爆発し,また燃えつきず隕石(いんせき)となるものもある。

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世界大百科事典(旧版)内の火球の言及

【核兵器】より

…このことが放出エネルギーの配分を通常爆薬と異質なものにしている。核爆発後1×10-6秒以内に,超高温となった核兵器残滓は主としてX線の形で大量のエネルギーを放出するが,空中爆発ではこのX線は1m内外の空気に吸収され,極度に高温となった空気と気化した残滓が火の玉もしくは火球fireballと呼ばれる光り輝く球状の塊を形成する。火の玉は放射線と熱線を放出しつつ,急速に膨張を続けるとともに,しだいに冷却され,上昇によって空気の抵抗を受け球形からドーナツ形に変化し,放射能雲のきのこ雲mushroom cloudを形成する(図5)。…

【隕石】より

…英名meteoriteも〈空あるいは大気中からの石〉の意味である。
[隕石の落下]
 隕石が落下する際には巨大な火球が現れ,夜間ならば真昼のように明るくなることもあるし,多くの場合大気の衝撃波による大爆音をともなうので多くの人びとを驚かす。音響の聞かれる範囲は数十km四方に及ぶことも珍しくない。…

【流星】より

…明るさは粒子の質量などで違い,望遠鏡でやっと見える暗いものから満月より明るいものまでさまざまである。とくに明るい流星を火球という。流星物質には1mg以下のものから数tに及ぶ質量のものまであるが,平均的なものは1g以下で,0.2~0.3g/cm3の低密度である。…

※「火球」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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