流星は通常の晴夜、1時間で散発的に2、3個は見ることができるが、毎年ほぼ決まった時期に、天球上の決まった方向から多くの流星が飛び出すように現れることがある。これが流星群で、その方向を放射点とよぶ。放射状に飛び出してくるように見えるのは、それらの流星体がそれぞれ平行して地球に飛び込んでくるためで、平行している鉄道線路や電線などが遠方で一点に集まるように見えるのと同様である。
これらの流星体の群はそれぞれ特定の軌道をもって太陽の周りを公転しており、その軌道が地球の軌道と交差しているため、毎年地球がその交点に差しかかると多くの流星が見られることになる。流星群は、その放射点のある星座の名を冠してペルセウス座流星群、ふたご座流星群などとよばれている。なお、流星群の多くは、その軌道が特定の彗星(すいせい)の軌道とよく似ている。これはその彗星が軌道上に振りまいた微塵(みじん)が流星群をつくると考えられるためで、流星群のなかには、たとえばジャコビニ流星群のように、母彗星の名でよばれるものもある。流星群には、1時間に数個程度の流星しか見られないものもあるが、大きな群では、1時間に100個以上も観測されるものがある。また、まれに毎分数千個もの流星が現れるものがあって、流星雨とよばれる。ジャコビニ流星雨やしし座流星雨などが有名であるが、これらはその母彗星が回帰した前後にだけ現れ、ほかの年にはきわめてわずかの流星しかみられないものが多い。こうした現象は、その軌道上で母彗星に近いところにだけ流星体が密集しているためにおこるもので、出現の期間もわずか数時間にすぎないものが多い。これらは若い流星群と考えられ、反対に古い流星群では流星体が軌道全体に平均して散在し、毎年ほぼ同様に出現する。これらは出現の期間も比較的長く、数日から数週間に及ぶものもある。
[村山定男]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
毎年ほぼ決まった日の前後に,多数の流星が天球上の決まった1点を中心に放射状に出現する。こうした出現をする流星全体を流星群といい,天球上の中心を輻(放)射点という。この現象は,たくさんの流星物質がほぼ平行に軌道運動をしているところへ地球がさしかかるために起こる。それぞれの流星群を,輻(放)射点のある星座の名をとって,〈ふたご座流星群〉〈オリオン座流星群〉などという。おもなものを表に示す。
執筆者:長沢 工
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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