災害救助(読み)さいがいきゅうじょ

改訂新版 世界大百科事典 「災害救助」の意味・わかりやすい解説

災害救助 (さいがいきゅうじょ)

風水害地震津波噴火,大規模な火事爆発などの災害が発生した場合に,応急的に必要な救済を行い,被災者の保護と社会秩序保全を目的とする活動。災害救助法(1947公布)および災害対策に関する基本的事項を定めた災害対策基本法(1961公布)等に基づいて災害救助の活動が行われている。都道府県または市町村の地域内について災害が発生し,または災害発生のおそれがあるときには,それぞれに災害対策本部が設置され,また,非常災害が発生した場合には,臨時に国に非常災害対策本部が設置されて,総合的な災害応急対策が実施される(災害対策基本法23,24条等)。

 災害救助法が適用されるのは,市町村の区域内の世帯の一定数以上の住家が滅失した場合,災害が隔絶した地域に発生して被災者の救助が困難な特別の事情がある場合等,同法および同法施行令で定める基準の災害が発生した場合である。救助の種類は,収容施設の供与,炊出しその他による食品の給与,飲料水の供給,被服・寝具その他生活必需品の給与または貸与,医療および助産,災害にかかった者の救出,災害にかかった住宅の応急修理,生業に必要な資金等の給与または貸与,学用品の給与,埋葬等が法定されている。災害救助の活動は,住民に密着した市町村が中心となるが,消防,警察,海上保安官,指定行政機関のみならず,日本赤十字社のような指定公共機関も協力義務を負う。自衛隊の災害出動が要請される場合もある。災害救助は,関係住民にとっても共通の利益であり,緊急を要する活動であるために,救助に必要な物資収用,土地・工作物等の一時使用等の応急公用負担,通信施設や道路の優先使用など特別の地位が行政主体に認められている。応急負担の性質上,収用は事前手続を必要としないが,損失を受けた場合の補償,実費弁済を必要とする。災害救助法に基づいて行う救助に要する費用は都道府県知事が支弁するが,一定額以上の支出がされた場合には,国庫補助がある。また,日本赤十字社が都道府県知事に委託されて行う救助活動の費用は都道府県が負担する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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