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為兼卿和歌抄 ためかねきょうわかしょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

為兼卿和歌抄
ためかねきょうわかしょう

鎌倉時代後期の歌論書。京極為兼著。1冊。成立は不明だが,一説に弘安8 (1285) ~10年頃かという。和歌の本質,稽古論,心詞の論,作歌態度について説いている。藤原定家の『近代秀歌』のほか,『文筆眼心抄』など中国詩論の影響も認められる。『万葉集』尊重の主張や,詞の雅俗についての論,心を詞よりも優位に考える論は,当時としては革新的で,為兼と対立する二条為世一派に非難された。源実朝を高く評価しているのも注目される。

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デジタル大辞泉の解説

ためかねきょうわかしょう〔ためかねキヤウワカセウ〕【為兼卿和歌抄】

京極為兼の歌論書。弘安8年(1285)から弘安10年(1287)に成立。未定稿ともされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

為兼卿和歌抄
ためかねきょうわかしょう

歌論書。京極(きょうごく)為兼著。1285~87年(弘安8~10)成立。執筆対象は当時の春宮(とうぐう)、伏見(ふしみ)天皇か。巻末の文体の乱れから未定稿ともされる。伝統歌風を墨守する二条派に対抗し、為兼が自らの革新的歌風の根本理念を説いた書で、万葉、新古今歌人、実朝(さねとも)、明恵(みょうえ)の作歌態度を引き、空海の『文鏡秘府論(ぶんきょうひふろん)』等によって、心の絶対的尊重と詞(ことば)の完全な自由化を主張。「心のままに詞のにほひゆく」の語は後年の京極派秀歌の真髄を予言した名言。なお、仏教的にも注意すべき論書である。[岩佐美代子]
『土岐善麿著『訳注為兼卿和哥抄』(1963・初音書房) ▽福田秀一著『中世和歌史の研究』(1972・角川書店)』

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