分離課税(読み)ブンリカゼイ

デジタル大辞泉 「分離課税」の意味・読み・例文・類語

ぶんり‐かぜい〔‐クワゼイ〕【分離課税】

特定種類所得については、他の所得と合算せずに分離して課税すること。→総合課税

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精選版 日本国語大辞典 「分離課税」の意味・読み・例文・類語

ぶんり‐かぜい‥クヮゼイ【分離課税】

  1. 〘 名詞 〙 一定の種類の所得については、他の所得と合算せず、一定の税率または特別の税率表を適用して課税する方法

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改訂新版 世界大百科事典 「分離課税」の意味・わかりやすい解説

分離課税 (ぶんりかぜい)

近代的所得税は一般に総合課税主義をとり,個人に帰属する所得を総合して累進課税を行う。しかし分離課税とは,特定の所得について,他の所得と総合すれば税負担が過重となるため,あるいは一定の政策目的を促進するため,他の所得と合算しないで課税する方式を指す。分離課税には,山林所得退職所得のように,税額計算は他の所得と分離して行うが,納税は確定申告により行うものと,利子所得配当所得の分離課税のように,一定の税率による源泉徴収だけで済ます源泉分離課税とがある。山林所得と退職所得が分離課税されるのは,長期間にわたる経営および勤労の結果得られ,かつ一時的な所得なので,他の経常的所得と合算して累進課税をするのは妥当ではないとされているからである。つまり,所得を稼得するまでの期間の長短,また所得が一時的か経常的かによって,所得を総合するか分離するかが定まる。これに対し,利子所得と配当所得は資本蓄積という〈一定の政策目的〉を促進するため,租税特別措置法により設けられている。償還差益割引債券(割引金融債や割引国債など)における発行価額と償還価額との差額に相当する所得)の分離課税も同様の趣旨による。近年では,土地建物等の譲渡所得にも分離課税の特例が認められるようになった。このような分離課税は,総合累進所得税というたてまえに反するものであり,税収不足を招くということのみならず課税の公平のうえからつよい批判がある。
所得税 →租税特別措置
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「分離課税」の意味・わかりやすい解説

分離課税
ぶんりかぜい
separate taxation

ある租税主体(納税義務者)に帰属するすべての課税所得のうち,特定の所得について他の所得とは合算せず,それだけを独立の課税標準として特定の税率を適用して課税するもの。一般に税負担が軽減される場合が多い。所得税は総合課税が原則になっているが,特定の所得については所得の性格や特定の政策目的から分離課税が行なわれる場合がある。日本では退職所得と山林所得(所得税法22),一定範囲内の利子所得と配当所得(租税特別措置法3,8条の2,4)について分離課税が認められている。(1) 利子所得,(2) 社債的受益証券の配当,(3) 私募公社債等運用投資信託の配当,(4) 懸賞金付預貯金の懸賞金など,(5) 定期積立など金融類似商品の補填金など,(6) 一定の割引債の償還差益で,(1)~(5)は 20%(所得税15%,地方税5%),(6)は 18%(特定のものは 16%)が源泉徴収される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「分離課税」の意味・わかりやすい解説

分離課税
ぶんりかぜい

総合課税・分離課税

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会計用語キーワード辞典 「分離課税」の解説

分離課税

他の種類の所得とは合算せずに、分離して課税する制度のこと。

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