無文(読み)ムモン

デジタル大辞泉 「無文」の意味・読み・例文・類語

む‐もん【無文】

衣服などに文様がないこと。無地。⇔有文うもん
和歌連歌俳諧で、表現が平淡なこと。また、そのような歌や句。⇔有文
「―なる歌のさはさはと詠みて」〈毎月抄
能楽で、平淡な中に心をうつ味わいのあること。⇔有文
無風―なれども、その位、にほひ、影添ふ」〈六輪一露之記注〉
[類語]無地

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「無文」の意味・読み・例文・類語

む‐もん【無文・無紋】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 模様がないこと。あや、飾りのないこと。特に、模様のない布。また、その衣服。⇔有文(うもん)
    1. [初出の実例]「紅梅の濃き薄き織物、固紋・むもんなどを、あるかぎり着たれば」(出典:枕草子(10C終)二七八)
    2. [その他の文献]〔礼記‐礼器〕
  3. ( 無文 ) 和歌・連歌・俳諧で、外面的な技巧や飾りのない平淡なこと。また、そのような歌や句。⇔有文(うもん)
    1. [初出の実例]「常に人の透逸の躰と心得て侍るは、無文なる歌のさはさはと読みて、心おくれたけあるのみ申しならひて侍る」(出典:毎月抄(1219))
  4. ( 無文 ) 能楽で、目や耳に直接訴える美ではなく、一見平凡に思われてもより深い味わいのあること。⇔有文(うもん)
    1. [初出の実例]「声聞無文にて、さして心耳をうごかす曲はなくて、ただうつくしく、たふやかにきこゆる風体をこのむもあり」(出典:風曲集(1423頃))
  5. 学問のないこと。勉学してないこと。
    1. [初出の実例]「イチモンワ mumonno(ムモンノ) シナリ」(出典日葡辞書(1603‐04))

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普及版 字通 「無文」の読み・字形・画数・意味

【無文】むぶん

礼文がない。

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