毎月抄(読み)まいげつしょう

  • まいげつしょう ‥セウ
  • まいげつしょう〔マイゲツセウ〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

鎌倉時代前期の歌論書。藤原定家著。1巻。承久1 (1219) 年成立。『定家卿消息』『和歌庭訓』『庭訓抄』などの別名もある。毎月,衣笠 (藤原) 家良に送った書簡。冒頭近く,和歌十体じ,有心 (うしん) 体を最もすぐれていると説く点が注目される。そのほか心・花実の論,秀逸体論,本歌取りの技巧題詠の方法,歌病,詠歌態度などについて説く。

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世界大百科事典 第2版の解説

藤原定家が1219年(承久1)に著した歌論。1巻。《和歌庭訓》ともいう。偽書説もあるが定家真作説が有力。詠歌の心得を詳しく説いたもので,幽玄様などのいわゆる定家十体を掲げ,なかでも有心(うしん)体の歌を最も重視している点,また心(内容)と詞(表現)とを兼備した歌を高く評価している点などから,定家の考えをよく伝える歌論とみてよく,後世の歌学に与えた影響も少なくない。【赤瀬 知子】

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

鎌倉時代の歌論書。藤原定家著。奥書に「承久(じょうきゅう)元年(1219)七月二日或人(あるひと)返報云々」とあり、成立時を示すと認められる。送った先の「或人」は本文内容から身分の高い定家の和歌の弟子と考えられるが、だれであるか不明(衣笠(きぬがさ)内大臣家良(いえよし)とする伝えがある)。中心は、和歌を十体(じってい)に分けて説き、その中心として「有心体(うしんてい)」をたてた点であるが、それは十体の一つであるとともに十体のすべてにもわたるとする。「有心」として説くのは作歌にあたっての観想の深さで、それが表現上に表れていることである。理想的な完成態は「秀逸体」として十体とは別に説かれる。ほかに作歌にあたっての諸心得も説く。定家作を疑う説もあるが、真作説が有力である。

[藤平春男]

『藤平春男校注・訳『歌論集』(『日本古典文学全集50』所収・1975・小学館)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

鎌倉初期の歌論書。一巻。藤原定家著。承久元年(一二一九)衣笠(きぬがさ)家良の歌の添削の求めに応じて答えた消息体の歌論かという。王朝和歌を重んじ、和歌十体について説き、特に有心体を重んじて和歌の理想と論じ、さらに心と詞との関係から詠歌法一般に及んで述べている。定家の歌論を最も詳細に幅広く伝えているものの一つである。定家卿消息。和歌庭訓。

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世界大百科事典内の毎月抄の言及

【歌論】より

…その精神性は〈摩訶止観〉から学んだものであることは,俊成自身が言明しているところである。 俊成の子藤原定家は,《近代秀歌》《詠歌大概》《毎月抄》等の歌論を書いて,俊成の歌論を一歩推し進めた。〈詞(ことば)は古きを慕ひ,心は新しきを求め,及ばぬ高き姿をねがひて〉(《近代秀歌》),〈まづ心深く,長(たけ)高く,巧みに,詞の外まで余れるやうにて,姿気高く,詞なべて続け難きがしかもやすらかに聞ゆるやうにて,おもしろく,かすかなる景趣たち添ひて面影ただならず,けしきはさるから心もそぞろかぬ歌にて侍り〉(《毎月抄》)とあるように,高さや深さという内面性をいっそう重んじている点が注目されるのである。…

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