鎌倉時代の歌論書。藤原定家著。奥書に「承久(じょうきゅう)元年(1219)七月二日或人(あるひと)返報云々」とあり、成立時を示すと認められる。送った先の「或人」は本文内容から身分の高い定家の和歌の弟子と考えられるが、だれであるか不明(衣笠(きぬがさ)内大臣家良(いえよし)とする伝えがある)。中心は、和歌を十体(じってい)に分けて説き、その中心として「有心体(うしんてい)」をたてた点であるが、それは十体の一つであるとともに十体のすべてにもわたるとする。「有心」として説くのは作歌にあたっての観想の深さで、それが表現上に表れていることである。理想的な完成態は「秀逸体」として十体とは別に説かれる。ほかに作歌にあたっての諸心得も説く。定家作を疑う説もあるが、真作説が有力である。
[藤平春男]
『藤平春男校注・訳『歌論集』(『日本古典文学全集50』所収・1975・小学館)』
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…その精神性は〈摩訶止観〉から学んだものであることは,俊成自身が言明しているところである。 俊成の子藤原定家は,《近代秀歌》《詠歌大概》《毎月抄》等の歌論を書いて,俊成の歌論を一歩推し進めた。〈詞(ことば)は古きを慕ひ,心は新しきを求め,及ばぬ高き姿をねがひて〉(《近代秀歌》),〈まづ心深く,長(たけ)高く,巧みに,詞の外まで余れるやうにて,姿気高く,詞なべて続け難きがしかもやすらかに聞ゆるやうにて,おもしろく,かすかなる景趣たち添ひて面影ただならず,けしきはさるから心もそぞろかぬ歌にて侍り〉(《毎月抄》)とあるように,高さや深さという内面性をいっそう重んじている点が注目されるのである。…
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