改訂新版 世界大百科事典 「焼セッコウ」の意味・わかりやすい解説
焼セッコウ(石膏) (しょうせっこう)
calcined gypsum
セッコウCaSO4・2H2Oを加熱して結晶水の3/4を脱水させ,白色粉末状の半水セッコウCaSO4・1/2H2Oとなったもの。〈焼きセッコウ〉ともいう。脱水は約76℃から起こるが,工業的にはセッコウ粉を150~200℃で煆焼(かしよう)して製造する。これをβ型という。さらに,煆焼方法の異なったα型がある。水を加えると,もとのセッコウに戻るときに凝結して固まる性質がある。α型はβ型に比べ練るときに水が少なくてすむもので,β型より硬化強度が非常に大きい。単一の無機塩でこのような性質をもつものは他に類がないが,これは焼セッコウとセッコウの両者の溶解度の大きさの関係による。この特性のために古代エジプト時代から現代まで不変に使用されてきて,他に代替するものがない。セッコウボードやプラスターとしての建築用,陶磁器の型材用,自動車の模型や鋳型などの工業用,歯科用の模型や整形外科用ギプスなど医療用,美術工芸用などに広く用いられる。
執筆者:瀬戸山 克巳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報