化学辞典 第2版 「準安定状態」の解説
準安定状態
ジュンアンテイジョウタイ
metastable state
一般にエネルギー的に真の安定状態ではないが,安定状態への転移,もしくは遷移が比較的長時間を要する状態をいう.たとえば,相平衡においては,液体の凝固のときにしばしば観察される過冷液体や,多形をもつ固体物質(硫黄など)を加熱したとき,転移点以上にある低温安定形などがそれである.原子,分子の励起状態では,Hg(3P0),O2(1Δg)などは通常の励起状態に比べてはるかに寿命が長く準安定状態とよばれる.また,原子核では寿命の長い(普通0.01 s 以上)励起状態をいう([別用語参照]核異性).質量分析計のイオン源で電子衝撃により生じた正イオンのうち,解離が比較的遅いイオンを準安定イオンという.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報