爪紅(読み)ツマベニ

デジタル大辞泉 「爪紅」の意味・読み・例文・類語

つま‐べに【爪紅】

女性化粧で、指の爪に紅を塗ること。また、それに用いる紅。マニキュアペディキュア
ホウセンカ別名。つまくれない。

つま‐くれない〔‐くれなゐ〕【爪紅】

《花で爪を赤く染めたところから》ホウセンカの別名。つまべに。

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精選版 日本国語大辞典 「爪紅」の意味・読み・例文・類語

つま‐べに【爪紅】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 婦人の化粧で、手や足の指のつめに紅を塗ること。また、その紅。〔俳諧・毛吹草(1638)〕
    1. 爪紅<b>①</b>〈絵本江戸紫〉
      爪紅〈絵本江戸紫〉
  3. ( 紅色の花が、婦人の爪を染める原料となったところからいう ) 植物ほうせんか(鳳仙花)」の異名。《 季語・秋 》

つま‐ぐれ【爪紅】

  1. 〘 名詞 〙 植物「ほうせんか(鳳仙花)」の異名。→つまくれない(爪紅)。《 季語・秋 》 〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕

つま‐くれない‥くれなゐ【爪紅】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「つまぐれない」とも。この花で爪を赤く染めたところからいう ) 植物「ほうせんか(鳳仙花)」の異名。《 季語・秋 》 〔大和本草(1709)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「爪紅」の意味・わかりやすい解説

爪紅
つまべに

女性の手の化粧法の一つ。「つまくれない」ともいう。西洋ではこれをマニキュアmanicureといい、19世紀後半になって始められたが、わが国ではそれより早く16世紀(天正(てんしょう)年代)にはすでに行われていたことが、ルイス・フロイスの『日欧文化比較』に記されている。当時の爪紅は高貴の女性の間で行われたにすぎないが、この風俗は、おそらく中国から伝来したものであろう。材料はホウセンカで、爪(つめ)を染める原料となるところから、古くはこの花をツマクレナイまたはツマベニといっている。

[遠藤 武]

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改訂新版 世界大百科事典 「爪紅」の意味・わかりやすい解説

爪紅 (つまべに)

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動植物名よみかた辞典 普及版 「爪紅」の解説

爪紅 (ツマグレ)

植物。ツリフネソウ科一年草,園芸植物,薬用植物。ホウセンカの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の爪紅の言及

【中啓】より

…色や絵柄は用途や流儀により異なるが,翁扇,尉扇,神扇,修羅(しゆら)扇,鬘(かつら)扇,狂女扇,天女扇,男扇,山伏扇,雲月(うんげつ)扇,善知鳥(うとう)扇,鬼扇,融(とおる)扇,童扇,乱(みだれ)扇などの区別がある。なお,ツマに近い雲形の部分が紅のものを爪紅,紺のものを爪紺と称する。爪紅は華やかな役柄,爪紺は老人などの役に使用される。…

【マニキュア】より

… 中世ヨーロッパにおける〈ハンマムhammam〉と呼ばれた美容院ではマニキュアをしていたと記録にあるが,これはネイル・クリームなどを塗ってつめの手入れをしていたもので,現在のようなニトロセルロースを使ったネイル・エナメルの流行は1920年代に入ってからである。日本でつめに紅を塗る風俗は記録では平安末期の《雍州府志》にまでさかのぼるが,もともとは中国から伝わった風俗で,中国では唐の楊貴妃は手足のつめが紅色で,宮廷の女性たちがそれをまねたのが爪紅(つまべに)の始まり,とする伝説がある。ホウセンカの花をついてその赤い汁を塗ったらしいことが諸書に見えている。…

※「爪紅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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