マニキュア(読み)まにきゅあ(その他表記)manicure

翻訳|manicure

デジタル大辞泉 「マニキュア」の意味・読み・例文・類語

マニキュア(manicure)

手のつめ手入れ化粧。形を整えて甘皮を除き、磨いてつやを出したりエナメル液などをつけたりする。爪化粧。美爪びそう術。→ペディキュア
1に用いるエナメル液。

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精選版 日本国語大辞典 「マニキュア」の意味・読み・例文・類語

マニキュア

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] manicure ) 手のつめの化粧法。形を整えたり、エナメルを塗って光沢や色彩をつけたりする。また、それに用いるエナメル液。美爪(びそう)術。→ペディキュア
    1. [初出の実例]「マニキュアに於ける表皮用のクリーム剤」(出典:新美装法(1916)〈藤波芙蓉〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マニキュア」の意味・わかりやすい解説

マニキュア
まにきゅあ
manicure

美手法。ラテン語のマニュmanu(手)と、キュラーレcurare(手当て)とが合成されたことばで、本来の意味は手の手当てをすること。手全体の美容をいい、美爪(びそう)、手のマッサージなど、手の化粧法すべてが含まれる。同様にペディキュアpedicureも、pedi(足の意を表す接頭辞)との合成語で、足の美爪、マッサージ、化粧など足全体の美容をいう。とくにペディキュアは、足のたこ、まめなどの治療をも含めていうこともある。

 マニキュアの歴史は非常に古く、古代エジプト時代に植物のヘンナミソハギ科)の花汁を用いて爪(つめ)を染め、ギリシア・ローマ時代には上流階級の婦人の間で行われた。中世に入りその技術も一段と進歩したといわれるが、現在のマニキュアが広く世界に流行したのは、原料のエナメルペイントがつくられた以後で、1920年代からである。

 日本でも、平安時代、ホウセンカの花弁とホオズキの葉をもみ合わせて爪を赤く染めることがあって、ホウセンカは一名「つまくれない」ともよばれた。江戸時代になると爪に薄く紅をさすこともみられ、それを「爪紅(つまべに)」といった。一種のマニキュアと考えてもよい。

 ネイル・エナメルの原料は、合成樹脂溶剤としてアルコール、それに可塑剤、着色剤を加えたものであり、色の種類も、パール、ピンク、赤などに加え、金、銀、黒、緑、紫など多彩である。

[横田富佐子]

マニキュアの方法

〔1〕ファイルで爪の形を整える。〔2〕せっけん液の微温湯に手指を浸し、〔3〕キューティクル・リムーバーでマッサージする。〔4〕プッシャーで上爪皮(爪の根元の皮膚)を押し、〔5〕ニッパーで切り取る。〔6〕せっけん液で手指を洗い、〔7〕バッファーでよく磨く。〔8〕手全体のマッサージを行い、〔9〕初めにベースコートを、次にネイル・エナメルを、そして最後にトップコートを塗り、半月を残して、爪を美しく見せるようにていねいに手早く塗る。〔10〕ネイル・エナメルがはみ出したところは、除光液で拭(ふ)き取る。

 なお、爪の健康上、1年以上エナメルを塗り続けていると、爪のためによくない。ときには自然に放置させておくことも必要である。

 また、爪が欠けたり、形が崩れたりしたときに行う「義爪(ぎそう)法」がある。薄いセルロイド状の義爪を、ネイル・ラッカーを使って爪に貼(は)り付けて補正する。

[横田富佐子]

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改訂新版 世界大百科事典 「マニキュア」の意味・わかりやすい解説

マニキュア
manicure

手の指のつめを美しくみせる化粧。本来,マニはラテン語manusで手,キュアは同じくcuraで手入れの意味である。つめの外皮(甘皮)を軟らかくして取り除きやすくする弱アルカリ性溶液のキューティクル・リムーバーcuticle remover,つめの表面をセーム皮(鹿皮)で磨くときつける粉末ネイル・ポリッシュnail polish,つめの表面に艶と色調をそえるネイル・エナメルnail enamel,ネイル・エナメルを取り除く溶剤で除去(光)液ともいうエナメル・リムーバーenamel remover,除去液の連用によって失われた油分や水分を補い,つめのもろくなるのを防ぐネイル・クリームnail creamなどのマニキュア用製品がある。さらに専門的にネイル・エナメルの密着性をよくするため最初に塗るベース・コートやエナメルの硬さと光沢を増すために最後に塗るトップ・コート,タバコやインキなどの汚れを漂白するネイル・ブリーチなどがある。また,足のつめに塗るのをペディキュアpedicureといい,慣用語としてネイル・エナメル(ネイル・ラッカー)のことをマニキュアと呼びならわしている。

 中世ヨーロッパにおける〈ハンマムhammam〉と呼ばれた美容院ではマニキュアをしていたと記録にあるが,これはネイル・クリームなどを塗ってつめの手入れをしていたもので,現在のようなニトロセルロースを使ったネイル・エナメルの流行は1920年代に入ってからである。日本でつめに紅を塗る風俗は記録では平安末期の《雍州府志》にまでさかのぼるが,もともとは中国から伝わった風俗で,中国では唐の楊貴妃は手足のつめが紅色で,宮廷の女性たちがそれをまねたのが爪紅(つまべに)の始まり,とする伝説がある。ホウセンカの花をついてその赤い汁を塗ったらしいことが諸書に見えている。日本でもホウセンカをツマベニとかツマクレナイと呼ぶ地方がある。江戸時代初期の《女鏡秘伝書》(1650)には(つめに)〈べにもいかにもうすくさしたまふべし〉とある。洋風のマニキュアが行われるようになったのは昭和に入ってからである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マニキュア」の意味・わかりやすい解説

マニキュア
manicure

手の爪に施す化粧。歴史は古く,すでに古代エジプトにおいて爪を染める風習があったといわれる。古代ギリシア・ローマ時代にもマニキュアは上流階級の女性の間に盛んに行われ,中国においても,ホウセンカの花をもみ,その汁を爪に塗る風習は古くから知られている。中世ヨーロッパでは化学の進歩とともにマニキュアの材料,技術とも発展をとげ,19世紀に入ると広く一般に行われるようになった。日本では,ホウセンカの花とカタバミの葉をもみ合せてその汁を爪に塗る「つまくれない」の風習が平安時代から知られており,また江戸時代には爪に薄く紅をさす「つまべに」は女性の身だしなみの一つとされていた。明治になると西洋流のマニキュア技術も移入され,現代においては爪にエナメルを塗るマニキュア法は広く女姓一般の風俗となっている。

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百科事典マイペディア 「マニキュア」の意味・わかりやすい解説

マニキュア

手の爪(つめ)の美容法。古代エジプトでも行われ,中世ヨーロッパではハンマム(hammam)と称する美容院で爪の手入れが行われたと記録される。また,日本では江戸時代に爪に紅をさした。ニッパーで形よく爪を切り,ファイル(やすり)で形を整え,甘皮を切り,無水ケイ酸などの粉末でみがいて光沢をだす。慣用語としては,ネイル・エナメル(染料や顔料,被膜形成剤としてのニトロセルロース,溶剤としてのアセトンなどからなる)をさすことが多い。なお,現在のネイル・エナメルの普及は1920年代からのものである。足の爪に施す場合はペディキュアpedicureという。最近はネイル・アートと称し,爪にペイントしたりビーズなどで飾ったりもする。また,爪の美容専門店もできた。

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