(読み)ジ

デジタル大辞泉 「爾」の意味・読み・例文・類語

じ【爾】[漢字項目]

人名用漢字] [音]ジ(漢) ニ(呉) [訓]なんじ それ その
なんじ。「爾汝じじょ
それ。その。「爾後爾余爾来
状態を示す助字。「莞爾かんじ卒爾徒爾
[名のり]しか・ちか・ちかし・みつる・あきら・み
難読云爾しかいう

おれ【×爾/×儞】

[代]二人称人代名詞相手を卑しめていう。貴様。おのれ。
いやしやっこが造れる屋には、―自らいりゐよ」〈三条本神武紀〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「爾」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 14画

(異体字)尓
5画

[字音] ジ・デイ
[字訓] うつくしい・なんじ・のみ

[説文解字]
[金文]

[字形] 象形
人の正面形の上半部と、その胸部(り)形の文様を加えた形。を独立した字と解すれば会意となるが、全体象形と解してよい字である。はその文身の模様。両乳を中心として加えるもので、爽(そう)・(せき)などは女子の文身を示す。爽の上半身の形が爾にあたる。みな爽明・靡麗(びれい)の意のある字である。〔説文〕三下に「麗爾なり。ほ靡麗のごときなり」とし、その字形は冂(けい)ととに従い「其の孔(あな)(うるは)し。(じ)聲」と形声に解し、窓飾りの格子の美しいさまであるという。を二爻(こう)、窓の形とするものであるが、爽の字形からも知られるように、両乳の部分に文身を加えた形。通過儀礼の際に呪禁として加えるもので、おそらく死喪のとき、朱を以て絵身を施したものであろう。ゆえにまた靡麗の意となる。二人称に用い、また状態詞の語末、接続の語などに用いるのはみな仮借。〔詩、小雅、采〕「彼の爾(でい)たるは維(こ)れ何ぞ」の爾はの仮借。は文身の美を、花に移していうものであろう。

[訓義]
1. 文身、死者の胸に加える朱の文身。
2. うつくしい、あざやか。
3. (でい)と通じ、はなやか、花が美しい。
4. 而・如・乎・然と通じ、なんじ、これ(かくのごときもの)。状態詞の語末(莞爾(かんじ))、のみ、しかりのように用いる。
5. 邇と通じ、ちかし。

[古辞書の訓]
名義抄〕爾 ナムヂ・チカシ・ナムタチ・シカリ・シカウシテ・ソノ・シカノゴトキ・ススム 〔字鏡〕 シカモ・シバラク・コノ・ナムヂ・シカナリ・ソレ・マコト・ヨムナリ・シカリ・コレ・ココ・シカク・ソノ・ソコ 〔字鏡集〕爾 ナムヂ・チカシ・シカウシテ・オノヅカラ・コヒタスク・コトハ・シカモ・ナムタチ・シカリ・ソノ

[声系]
〔説文〕に爾声として・邇・璽など十字を収める。爾に繁縟(はんじよく)美麗の意がある。邇(じ)は金文に「(ゑんじ)」のようにを用い、邇はその形声字にあたる。

[語系]
爾njiaiは而・耳nji、女・如njia、然njianと声が近く、代名詞・副詞・助詞として通用することが多い。

[熟語]
爾馨・爾後爾爾・爾日爾汝爾夕爾曹・爾等・爾余・爾来
[下接語]
云爾・果爾・塊爾・豁爾・莞爾・爾・敢爾・皎爾・鏗爾・嗟爾・爾・颯爾・粛爾・蠢爾・卒爾・率爾・爾・卓爾・徒爾・頓爾・飄爾・眇爾・蔑爾爾・勃爾・悠爾・聊爾・麗爾

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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