片言隻語(読み)ヘンゲンセキゴ

精選版 日本国語大辞典 「片言隻語」の意味・読み・例文・類語

へんげん‐せきご【片言隻語】

  1. 〘 名詞 〙 わずかなことば。ちょっとした短いことば。片言隻句。片言隻辞。
    1. [初出の実例]「其活溌なる説話の片言隻語を洩さず之を収録して」(出典:怪談牡丹燈籠(1884)〈三遊亭円朝〉序詞〈若林玵蔵〉)

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四字熟語を知る辞典 「片言隻語」の解説

片言隻語

わずかなことば。ちょっとした短いことば。

[使用例] 笑いさざめいていた者も笑いをおさめ、寄り合っていた者も散じてしまう。その淋しさはたとえようもない。皆かい目もくことばが通ぜず、片言隻語も採集できずに、むなしく一日が暮れていくのである[金田一京助*北の人|1934]

[使用例] 紙し魚みのように食いあさってわたり歩いてきた無数の本の片言隻語がつぎつぎと浮かんで、どこか一カ所を痛烈にえぐりたてるか、骨に錆さびついてくるかし、同時にまったくあべこべのことばが完全におなじ濃さと深さで食いこんできて私を駈かりたてにかかったり、静穏に誘ったりする[開高健*夏の闇|1971]

[解説] 晋しん代の詩人で官吏でもあった陸りく機きの文章(「謝平原内史表」)に「片へん言げん隻せき字じ」という形で出てきます。
 陸機は呉の生まれでしたが、故郷が晋に滅ぼされてからは晋に仕えました。
 その晋でも権力争いに巻き込まれます。謀む反ほんに協力した陸機は、首しゅ謀ぼう者の失脚後にとらえられます。
 「私はだまされただけです。謀反に関しては、わずかのことば、少しの文字も協力していません」
 こんな弁解が、陸機の文章に書かれています。「わずかのことば、少しの文字」というのが「片言隻字」です。
 現代日本語では、「片言隻語」「片言隻せっ句く」の形で使われます。「片言隻語にとらわれるな」と、「ことばの本質的でない細かい部分」の意味でも使います。
 例文の[北の人]は珍しい例です。アイヌ語の研究のためサハリンに渡った金田一京助が、最初は慣れなくて、ことばがひとつも採集できなかったというのです。現地の人々に協力してもらえるまでを、ユーモラスに描いた文章です。

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