一声(読み)いっせい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

一声
いっせい

能の小段の名。 (1) の小段。「一セイ」と記す。五七五・七五の2句から成り,拍子に合わない,上音を主体とした旋律。シテ登場直後や,舞の直前などに多い。 (2) 登場の囃子。化身,霊,精,物狂いなどの登場に用いられる。大鼓小鼓で奏し,笛がアシライを吹く。謡の「一セイ」との関係は密接であるが,必ずしも結びついているわけではない。長唄,歌舞伎にもこの囃子の変形したものが多用される。

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デジタル大辞泉の解説

いっ‐せい【一声】

大きい一つの声や音。ひとこえ。
「汽笛―新橋を」〈大和田建樹鉄道唱歌
の構成部分の一。シテの登場、舞のかかりなどに謡う定型的な短い謡。
能の囃子事(はやしごと)の一。シテの登場などに際して、大鼓・小鼓に笛を吹き添えるもの。
狂言囃子事の一。能がかりの登場に用いる。
歌舞伎囃子の一。能と同じく、大鼓・小鼓・能管による。大海・深山の幕開き、道具替わり、舞踊の主役の登場などに用いる。

ひと‐こえ〔‐こゑ〕【一声】

一度出す声や鳴き声。「鶴の一声
短い言葉を発すること。ちょっと言うこと。「隣に一声かけて出掛ける」「大臣の一声で決まる」

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションの解説

ひとこえ【一声】

山形の日本酒。大吟醸古酒「飛」「翔」、吟醸酒「旬」、本醸造酒「からくち」などがある。全国新酒鑑評会で受賞実績多数。原料米は山田錦、美山錦など。仕込み水は月山の伏流水。蔵元の「設楽酒造店」は明治29年(1896)創業。所在地は西村山郡西川町大字睦合丙。

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デジタル大辞泉プラスの解説

一声(いっせい)

山形県、株式会社設楽酒造店の製造する日本酒。平成21、22、23酒造年度の全国新酒鑑評会で金賞を受賞。

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世界大百科事典 第2版の解説

いっせい【一声】

能,狂言,歌舞伎音楽の用語。一セイとも書く。(1)能の囃子事(はやしごと)。化身,霊,精などの登場に広く用いられ,笛,小鼓,大鼓で奏演する。大鼓,小鼓は細かな変化のあるリズムを奏するが,笛は鼓のリズムに合わせず所定の部分を自由に奏する。用途が広く,登場する役柄により奏演の速度やテンポにも差があり,位取りにも幅がある。(2)能の謡事(うたいごと)。高音域を主とした七五調の短い楽曲。リズムは地拍子(じびようし)の法則に合わない。

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大辞林 第三版の解説

いっせい【一声】

ひとこえ。
一度だけ音を出すこと。 「汽笛-」
能の謡うたいの構成部分の一。シテもしくはワキが登場するとき、あるいは舞の直後に謡う七五調の謡。その場所の景色や自己の心情などを表現する。
能の囃子はやしの曲種の一。演者が舞台に登場する際に奏されるややリズミカルな囃子。笛・小鼓・大鼓で奏す。
能の様式を模した狂言で奏される登場楽。

ひとこえ【一声】

一回声に出すこと。また、その声。また、一回の鳴き声。 「『あっ』と-叫んだ」 「 -高く鳴く」
一言ひとこと口に出して言うこと。 「困ったことがあったら-かけて下さい」
何か事を決定するような一言。 「社長の-で決まる」 「もう-(=値段ノ交渉ナドデ値段ヲ一段階下ゲルコトヲ促ス声)」

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精選版 日本国語大辞典の解説

いっ‐しょう ‥シャウ【一声】

〘名〙
① 一度声を出すこと。ひとこえ。いっせい。〔日葡辞書(1603‐04)〕
② 一声の称名念仏。〔往生礼讚偈‐後・序〕
悉曇字母(しったんじぼ)(=梵字)で最初の字である(a)の音で、言語の根本と考えられていた。阿字。
※性霊集‐七(835頃)笠大夫奉為先妣造大曼荼羅像願文一首「弌声之義。歴却難尽」

いっ‐せい【一声】

〘名〙
① ひとこえ。また、一つの響きや音。
※和漢朗詠(1018頃)上「池冷やかにして水に三伏の夏なし 松高うして風に一声の秋あり〈源英明〉」
※唱歌・鉄道唱歌(1900)〈大和田建樹〉「汽笛一声新橋を はや我汽車は離れたり」 〔梁簡文帝‐倡楼怨節〕
② 謡曲の小段名。主に、シテが登場して、最初にその場所の景色や自己の心情などをうたう部分をいう。
※風姿花伝(1400‐02頃)六「作者も、発端の句、一せい、和歌などに、人体の物まねによりて、いかにも幽玄なる余情(よせい)、便りを求むる所に、荒き言葉を書き入れ」
③ 能の囃子事(はやしごと)の一つ。演者の登場に際して、大鼓(おおつづみ)、小鼓、笛で囃すもの。このあと、演者が登場して②の謡をうたう。これには「真の一声」など位の重いものもある。〔易林本節用集(1597)〕
④ 謡などを一節うたうこと。
※大乗院寺社雑事記‐文明二年(1470)三月一〇日「殿下并御所御所女中以下衆は不精進少々献之。及一声畢」
⑤ 歌舞伎で、大海や深山の幕明き、道具替わり、舞踊の主役の登場などに用いる囃子。能と同様、能管と大鼓、小鼓による。
※歌舞伎・名歌徳三舛玉垣(1801)四立「片しゃぎりにて道具納る。途端鼓の一声になり、上るり始まる」

ひと‐こえ ‥こゑ【一声】

[1] 〘名〙
① 一つの音声。一回のかけ声。また、一曲。
※源氏(1001‐14頃)帚木「いまひとこゑ。聞きはやすべき人のある時」
② 一回の鳴き声。特に、ホトトギス、鶴などの鳴き声にいう。
※万葉(8C後)一九・四二〇九「ほととぎす いまだ来鳴かず〈略〉恋ふれども 比等己恵(ヒトコヱ)だにも いまだ聞えず」
[2] 端唄・歌沢・小唄の曲名。成立年不詳。江戸時代後期のもの。待ちぼうけをくって、短夜にホトトギスを聴く女の心をうたった曲。本調子もの。

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世界大百科事典内の一声の言及

【出入事】より

… 出端事は種類が多いが,おもに大鼓(おおつづみ)・小鼓(こつづみ)で奏される大小物と,太鼓が加わる太鼓物,その他のものの三つに大きく分けられる。大小物には,老人を除く男女,貴賤,僧俗などさまざまな役に用いる最も使用例の多い〈次第(しだい)〉,《嵐山》《賀茂》《高砂》など脇能のワキ・ワキヅレがさっそうと登場する〈真ノ次第〉,おもに化身,幽霊,精などの役に用いる〈一声(いつせい)〉(〈次第〉と同様に使用例が多い),老人など脇能の前ジテ・ツレが荘重に登場する〈真ノ一声〉,《砧(きぬた)》《熊野(ゆや)》などでいつのまにかシテが登場していたという趣の〈アシライ出〉などがある。 太鼓物には,《海人(あま)》《殺生石》《野守(のもり)》など,神仏,鬼畜,精などの非人間的な役の登場に用いる〈出端〉,《鞍馬天狗》のように天狗や異相の神などが豪壮に登場する〈大(おお)ベシ〉,《猩々》《西王母》など天仙が風流的に登場する〈下リ端(さがりは)〉,《邯鄲》《鶴亀》など唐人の帝王の登場や着座に用いる〈真ノ来序〉などがある。…

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