牌符(読み)はいふ(その他表記)Pai-fu; P`ai-fu

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「牌符」の意味・わかりやすい解説

牌符
はいふ
Pai-fu; P`ai-fu

中国使者などが信任状として携行したもの。戦国時代虎符があったが,明確には前漢の文帝の後元2 (前 162) 年の銅虎符竹使符起源前者は軍兵徴発用,後者はその他の徴発用。ともに一半は朝廷におき,一半は地方官に渡し,地方官は使者持参の一半の符を自己のそれと合せて一符となれば真の使者と知るわけである。ほかに単独で用いる木伝信があった。漢代は牌符の制が整備され,唐代にはその種類もふえた。大領土を結ぶ発達した駅伝に使う必要から牌符の制が完備した元では金虎符,金符,銀符,円符,海青符など割符としてではなく,牌として単独に使われた。明・清の牌符の制も完備していたが,種類は前代と似ていた。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「牌符」の解説

牌符(はいふ)
paifu

中国で古来より職務を帯びた者,または使者が信任状として携行したもの。モンゴル帝国ではチンギス・カンのとき,その広大な領土を連絡するために駅伝の整備に伴い,金虎符(きんこふ),金符,銀符の制が設けられ,のちに海青符(かいせいふ),円符が現れた。牌面には漢字ウイグル文字パクパ文字などで駅伝利用の自由の保証が刻された。いずれも符といっても折半するものではなく,牌として単独に用いられた。

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旺文社世界史事典 三訂版 「牌符」の解説

牌符
はいふ

中国において官用で旅行する者に持たせた証明書
漢代に始まり,元代には駅伝制の発達に伴って普及した。現代パスポートにあたり,その種類は多様であるが,特に金牌銀牌が多く用いられた。符牌 (ふはい) ともいう。

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世界大百科事典(旧版)内の牌符の言及

【符牌】より

…中国で古くから行われた各種の証明物件の総称。牌符ともいう。符は割符形式,牌は単独形式で,いずれも銅,金,銀,竹,木,帛(きぬ),紙などで作られ,政府の徴発,駅伝,旅行,貿易,城門出入などの際に証明として用いられた。…

※「牌符」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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