牙儈(読み)スアイ

デジタル大辞泉の解説

すあい〔すあひ〕【牙儈】

売買の仲買をする者。また、その手数料。周旋料。才取り。すわい。
「商人(あきんど)の―を取るとは、武士の風上にも置かぬ奴」〈浮・世間猿〉
(「牙婆」「女商」「数間」などとも書く)「牙儈女」の略。
「御出入りの外に―を呼びにやる」〈西鶴大矢数・四〉
[補説]歴史的仮名遣いは、「すあい」とする説もある。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

が‐かい ‥クヮイ【牙儈】

〘名〙 (「」は「互」で互市(ごし)の意、「儈」は「会」で交易の意) 中国の仲買商人。さいとり。すあい。
※屑屋の籠(1887‐88)〈西村天囚〉前「当時清人(しんじん)の此地に到る者卒皆(おほむね)落弟子弟牙儈(ガカイ)の徒のみ」 〔新唐書‐張又新伝〕

すあい【牙儈】

〘名〙 (語源・歴史的かなづかい未詳。多く「すあひ」とするが、「すあい」とする説もある)
① (━する) 売買の仲介をして利をとること。また、その利やそれを業とする人。才取り。すわい。
仮名草子・尤之双紙(1632)下「いつはる物のしなじな〈略〉物うるにすあひといふ物」
浮世草子諸道聴耳世間猿(1766)一「過分の御知行をいただきながら、商人のすあいをとるとは武士の風上にもおかぬ奴」
② (「牙婆」「女商」とも書く) 「すあいおんな(牙儈女)」の略。
七十一番職人歌合(1500頃か)四一番「すあひ。月のきる雲の衣をうり物やさふらふといふ人もかはめや」
[語誌]「牙儈(がかい)」は漢籍に見える語。売買仲介の業は古くからあって、「中媒(ちゅうばい)」と称されていたことについては、「建暦二年三月二十二日宣旨」にみえる。しかし、「すわい」「すあい」の語が見られるのは、室町時代になってからである。

すわい【牙儈】

〘名〙 「すあい(牙儈)」の変化した語。
※大徳寺文書‐元亀三年(1572)一二月八日・大徳寺并諸塔頭金銀米銭出米納下帳「〔銀〕百七十五文目三分に金弐十壱文目五分に替へ、スワイニ遣之」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典内の牙儈の言及

【牙行】より

…牙行はこの意味で卸売市場の不可欠の要素である。 戦国から唐まで,牙行は牙儈(がかい),駔儈(そかい)といった。牙は互(相互),儈は会(会合)の意味といわれ,売買需給の周旋と価格決定の機能を表しており,商人の原初形態とみられる。…

【宋】より

… これら諸産業の勃興をうながしたものは商業であり,とくに宋代は商業が飛躍的に発展した時代と特徴づけることができる。商人には,遠隔地商業を専門とする客商,都市に常住して店舗をかまえる坐賈(ざこ),仲買を業とする牙儈(がかい),牙人に大別することができ,大都市の商人たちは業種ごとに行(こう)という商人組合を結成した。行はもともと自律的な組織であったが,その大部分は政府所要の物資を調達するかわりに営業の独占権が認められた御用組合となり,二,三の豪商に牛耳られることが多かった。…

【仲買】より

…これとは別に,〈すあい〉と呼ばれる仲買商人がいた。《七十一番職人歌合》では女の姿で描かれているが,素手で商品取引を行い,仲介料を取るものであり,牙儈,才取,牙婆,女商,牙儈女などと書く。越前南条郡の浦山内馬借は〈すわひ付の荷〉を扱わない旨の規約を結んでいる(〈西野文書〉)。…

※「牙儈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

グリンパティック系

脳内でリンパ系と同様のはたらきをもつ循環システム。グリア細胞(神経膠細胞)が血管周囲に形成したパイプ状の構造に脳脊髄液を循環させ、脳内に蓄積した老廃物を除去する。覚醒時より睡眠時の方がより活動的である...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android