六訂版 家庭医学大全科 「物理アレルギー」の解説
物理アレルギー
ぶつりアレルギー
Physical allergy
(アレルギー疾患)
どんな病気か
物理アレルギーとは、さまざまな物理的刺激によって引き起こされるアレルギー反応の総称です。刺激には、寒冷、運動、光線、機械的刺激などがあります。
これらの刺激が、寒冷じんま疹、運動誘発
原因は何か
前述のような種々の刺激によって、アレルゲンによる
症状の現れ方
刺激にさらされたのち、典型的には15~30分程度でじんま疹や喘息発作などが起こります。
運動誘発喘息は、気管支喘息患者のとくに小児から若年で、いわゆるアトピー体質をもつ人に多く認められ、運動開始後に気道の
検査と診断
いずれの病態・疾患でも、問診が診断のポイントになり、とくに誘因と症状との因果関係について詳しく検証することが最も大切です。また、ほかの原因に基づくアレルギー疾患との区別も重要です。
運動誘発喘息の診断には運動誘発試験を行い、気道の収縮が誘発されるかどうかで判断しますが、簡易的にピークフロー・メーターで測定する方法もあります。血液中の免疫グロブリンE(IgE)抗体検査で、誘因になる食物などに対する抗体が検出されることがあります。
治療の方法
いずれの病態・疾患の場合でも、まず原因を避けることが大切で、補助的に薬物を用います。たとえば寒冷じんま疹では、まず極端な寒冷刺激をできるだけ避けるよう試み、補助的に抗ヒスタミン薬を用います。
運動誘発喘息では、とくに学童や青年期では予防法を適宜組み合わせて、可能なかぎり運動が継続できることが望ましく、たとえば時間をかけて十分にウォーミングアップをすることは予防効果があるとされ、すすめられます。また運動の種類によっては発作が生じにくいものがあり、水泳はその代表格です。
薬物治療としては運動前のβ2刺激薬やクロモグリク酸ナトリウム(インタール)の吸入が有効です。最近は抗ロイコトリエン薬が運動誘発喘息の予防に優れた効果をもつことが証明されましたが、この場合はある程度連用するのが普通です。そのほか、基礎に慢性喘息がある場合は、吸入ステロイド薬を中心とした基礎治療をしっかりと行っておくことが大切です。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーの予防には、原因になる食べ物を避けること、食後3時間は運動を避けること、抗ヒスタミン薬を予防内服することなどが有効と考えられますが、症状が現れた場合には医療機関の受診が必須です。致死的なショック状態になる場合があり、一刻を争うこともあります。
受診後はエピネフリン、ステロイド薬や気管支拡張薬などによる治療が必要になります。
関連項目
食物依存性運動誘発アナフィラキシー(コラム)
山口 剛史
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報