特例子会社(読み)とくれいこがいしゃ

共同通信ニュース用語解説 「特例子会社」の解説

特例子会社

障害者雇用促進と安定を図るため、企業が特別の配慮をする子会社。民間企業には法定雇用率(2・3%)以上の雇用が義務付けられている。設立した子会社で障害者の人数割合など一定要件を満たせば、特例として親会社に雇用したものとみなして雇用率を算定できる。厚生労働省によると、2021年6月時点で全国の認定企業は562社。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「特例子会社」の意味・わかりやすい解説

特例子会社
とくれいこがいしゃ

民間企業や地方自治体が障害者の雇用を目的に設立する子会社。特例子会社制度は1976年(昭和51)に労働省(現、厚生労働省)の局長通達により導入され、障害者雇用促進法(昭和35年法律第123号)の改正(1987)により法制化された。特例子会社で働いている障害者は親会社で雇用されているとみなし、親会社の障害者雇用率(法定雇用率)に算入できるため、親会社の障害者雇用率を引き上げる目的で設立されるケースが多い。別会社であるため、親会社とは異なる賃金体系を設定できる。厚生労働大臣が認定しており、2018年(平成30)6月1日時点で全国に486社ある。

 特例子会社の認定を受けるには(1)障害をもつ従業員が5人以上おり、全従業員に占める比率が20%以上であること、(2)障害のある従業員に占める重度身体障害者、知的障害者、精神障害者の比率が30%以上であること、(3)親会社との人的関係が緊密であること(親会社からの役員派遣など)、(4)親会社が特例子会社の議決権過半数をもつなど、意思決定機関を支配していること、(5)専任指導者を配置するなど障害のある従業員を適正に雇用管理できる、などの条件を満たす必要がある。親会社の完全子会社がほとんどだが、地方自治体が出資した第三セクター形態の特例子会社もある。2002年10月からは単一の親会社だけでなく、特例子会社を含むグループ会社全体で、合算して障害者雇用率を算定できるようになった。

 特例子会社には、雇用障害者数が法定雇用率に満たない事業主から徴収される納付金を原資として、障害者雇用調整金や各種の助成金が支給され、障害者が働きやすいように、車椅子(いす)用トイレや介助施設などの整備、就労指導員の配置などにあてられている。特例子会社の従業員は健常者に比べて労働時間が短くなりがちで、毎月の給与は10万円前後のケースが多い。ただし、福祉作業所や授産施設の月収は2~3万円にとどまることが多く、特例子会社の増加は障害者の経済的自立に役だっている。一方で、知的障害者や精神障害者の定着率は低く、自治体の障害者就労支援センターや特別支援学校、福祉施設との連携強化が課題とされている。

[編集部]

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人事労務用語辞典 「特例子会社」の解説

特例子会社

特例子会社とは、企業が障がい者の雇用を促進する目的でつくる子会社のこと。障がい者雇用促進法は従業員56名以上の民間企業に対して、全従業員の1.8%以上は障がい者を雇うよう義務づけていますが、特例として、事業者が障がい者のために特別に配慮した子会社を設立し、一定の要件を満たした上で厚生労働大臣の認可を受ければ、その子会社の障がい者雇用数を親会社および企業グループ全体の雇用分として合算することが認められています。これを「特例子会社制度」といいます。
(2011/3/28掲載)

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