民間団体「特定失踪者問題調査会」が、北朝鮮による拉致の疑いを否定できないとする行方不明者。約470人をリスト化し、うち77人を北朝鮮での目撃情報や脱北した元工作員らの証言などから「疑いが濃厚」としている。昨年、特定失踪者家族会が結成され、現在は61家族で構成。2014年5月の日朝両国の「ストックホルム合意」では、特定失踪者を含む行方不明者も再調査の対象となったが、北朝鮮は16年に特別調査委員会の解体を発表した。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
日本における失踪者のうち、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)による拉致の可能性を排除できない行方不明者のこと。民間団体の特定失踪者問題調査会(代表、拓殖大学教授荒木和博)が、失踪した関係者の依頼を受けて調査・発表しており、2013年(平成25)9月1日時点で、特定失踪者として発表した総数は約700人に上る。このうち失踪時の状況などから拉致の疑いがとくに濃い「拉致濃厚」が77人、拉致の可能性が高い「拉致疑惑」が193人いる。一方、政府が認定した拉致被害者は横田めぐみら17人(うち5人は帰国)にすぎず、特定失踪者が拉致被害者を大きく上回っている。安倍晋三(あべしんぞう)政権は北朝鮮の拉致問題について、政府が認定した拉致被害者だけでなく、特定失踪者についても、北朝鮮からの帰国を求める方針をとっている。
北朝鮮が2002年に日本人の拉致を認めた際、拉致された人々のなかに、日本政府が拉致被害者とは認めていなかった曽我ひとみが含まれていた。このため、拉致被害者以外にも、連れ去られた多くの日本人が北朝鮮にいるのではないかとの疑惑が生じ、2003年1月、「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)から分離独立する形で特定失踪者問題調査会が発足し、特定失踪者の調査・公表にあたっている。しかし特定失踪者とされながら、日本国内で消息が確認された人も49人(2013年9月1日時点)いる。
一方、徳島県の拉致被害者団体「救う会徳島」の情報公開請求に対し、警察庁は2012年12月、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者(2012年11月1日時点)が、特定失踪者を含め、全国に868人いると発表した。警察庁は特別指導班を新設して捜査や調査を徹底するとともに、2013年6月には、家族から同意の得られた行方不明者の氏名や顔写真を公表し、広く情報提供を求めている。
[編集部]
(2015-10-29)
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