日本大百科全書(ニッポニカ) 「特殊貨物船」の意味・わかりやすい解説
特殊貨物船
とくしゅかもつせん
機械類や電気製品、日用品などの一般貨物を荷作りして輸送する普通貨物船に対し、油類や鉱石、穀物などの特定の貨物を、荷造りせずにそのままの姿で専用に運ぶ船を特殊貨物船あるいは専用船とよぶ。石炭専用船や鉱石専用船、セメント運搬船、穀類運搬船などのばら積み貨物運搬船。オイルタンカーやケミカルタンカー、液化ガス運搬船、天然ガス運搬船などの液体運搬船。冷凍運搬船や食肉運搬船、果実運搬船などの冷蔵貨物船。そのほか木材運搬船、自動車運搬船、重量物運搬船、ラッシュ船(貨物を積んだままの艀(はしけ)をそのまま搭載する船)、家畜運搬船など種々のものがある。このような特殊貨物船は運送する貨物の種類および航路も決まっているので、船をその航路や港湾事情に適するような船体構造につくり、荷役しやすいような設備を整えることができる。したがって普通貨物船に比べて有利な面があり、最近ではこのような専用船が急増している。
[岩井 聰]