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特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病(ITP) とくはつせいめんえきせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょうあいてぃーぴー

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家庭医学館の解説

とくはつせいめんえきせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょうあいてぃーぴー【特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病(ITP)】

[どんな病気か]
[原因]
[症状]
[検査と診断]
[治療]
[日常生活の注意]

[どんな病気か]
 原因となるほかの病気があるわけではないのに、血小板の数が減って紫斑ができる状態です。英語の病名(Idiopathic Thrombocytopenic Purpura)を略して、ITPともいいます。
 血小板の減少をともなう病気はいろいろあるので、それらの病気が原因でないことを確かめ(除外診断(じょがいしんだん))、この病気であると決めるために、さまざまな診察や検査が必要になります。
 特発性血小板減少性紫斑病には、血小板の減少が急におこる急性特発性血小板減少性紫斑病(急性ITP)と、徐々におこってくる慢性特発性血小板減少性紫斑病(慢性ITP)の2つのタイプがあります。
■急性特発性血小板減少性紫斑病(きゅうせいとくはつせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)
 子どもに多くみられ、発生数に男女差はありません。なんのきっかけもなく発病することもありますが、風疹(ふうしん)や麻疹(ましん)(はしか)などのウイルス感染症にひきつづいておこることがあります。
■慢性特発性血小板減少性紫斑病(まんせいとくはつせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)
 思春期以降の女性に多くみられます。徐々に発病するために、発病の時期がはっきりせず、自然に治ることはほとんどありません。
 なお、特発性血小板減少性紫斑病は、厚労省の特定疾患(とくていしっかん)(難病(なんびょう))に指定されています。医療費の自己負担分は、公費の補助が受けられます。

[原因]
 急性特発性血小板減少性紫斑病は、ウイルスなどの感染を防ぐために免疫(めんえき)がはたらいて、抗体(こうたい)がつくられ、これが抗原(こうげん)(ウイルスなど)と結合してできた免疫複合体(めんえきふくごうたい)が、偶然に血小板と結合する性質をもってしまうためにおこると考えられています。
 また、慢性特発性血小板減少性紫斑病は、血小板を抗原とする抗体ができてしまい、抗原抗体反応で血小板が減少する自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)(免疫のしくみとはたらきの「自己免疫疾患とは」)の一種と考えられています。
 どちらにしても免疫の異常が関係していると思われるので、免疫性血小板減少性紫斑病(めんえきせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)とも呼ばれていますが、検査しても原因と思われる抗体が見つからない場合もあります。

[症状]
 皮膚に点状出血がみられ、鼻、歯ぐき、尿路(にょうろ)などから出血しやすくなります。女性では、性器からの出血や月経過多(げっけいかた)もおこります。
 これらの症状が、急性では急激におこり、慢性では徐々におこってきます。
 重症になると、胃腸などの消化管や頭蓋内(ずがいない)での出血をおこして、生命が危険になることもあります。
 ひどい貧血、発熱、リンパ節の腫(は)れなどはみられません。
●受診する科
 この病気の可能性がある場合、かかりつけの医師と相談し、血液専門医を紹介してもらいましょう。

[検査と診断]
 どんな部位に出血しやすいか、いつ症状が始まったかなどについて聞かれます。この病気は、除外診断で決まるので、発熱、リンパ節の腫れ、関節の痛みや腫れ、発疹(ほっしん)などの症状があるかないか、使っている薬剤によるものかどうかが、たいせつな手がかりになりますので、正確に答えてください。
 ついで、つぎのような検査が行なわれます。
●末梢血検査(まっしょうけつけんさ)
 手などの静脈から血をとって検査します。血小板の数が血液1mm3あたり10万個以下に減っています。
 特発性血小板減少性紫斑病なら、赤血球(せっけっきゅう)や白血球(はっけっきゅう)の数に異常がないのが原則ですが、大量の出血があると、赤血球の減少と白血球の増加がみられることがあります。
血液凝固検査(けつえきぎょうこけんさ)
 血液の固まりぐあいを調べる検査です。この病気であれば、なかなか固まらないので出血時間の延長と、血小板の不足による毛細血管(もうさいけっかん)の弱まり(抵抗性(ていこうせい)の減弱(げんじゃく))がみられますが、そのほかの凝固検査に異常はみられません。ただし、末梢血検査で血小板数の減少がはっきりしていれば、出血時間の検査は必要ありません。
●骨髄検査(こつずいけんさ)
 針を骨に刺して骨髄液をほんの少しとり、調べる検査です。骨髄の造血細胞(ぞうけつさいぼう)に異常があって血小板が減少することがあるので、そうした病気ではないことを確かめます。
 この検査でも、赤血球や白血球の造血にはなんの異常もみられません。
●その他の検査
 血小板の寿命が短くなっていることを確かめる検査、血小板に結合する抗体(免疫グロブリンG)の血液中の量が増えていることを確かめる検査などをすると、診断の助けになります。
 また、ほかの病気が原因でおこる症候性血小板減少性紫斑病(しょうこうせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)でないことを確かめる検査もたいせつです。
 ほかに、遺伝性の血小板減少症の可能性を除くため、家族の人の血液検査が必要になることもあります。

[治療]
 急性の患者さんの約90%は、数週間から数か月間で、自然に治ってしまいます。
 しかし、血小板の減少がひどく、重要な臓器から出血する危険があると判断された場合は、ステロイド(副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン)の使用、血小板の輸血(成分輸血(せいぶんゆけつ))などが行なわれます。
 慢性の患者さんのうち、血液1mm3中の血小板数が5万個以上あれば軽症なので、治療をせずに経過をみます。
 血小板数が5万個以下である場合は、つぎのような順序で治療します。
①ステロイドの使用
 1日に体重1kgあたり1mgのプレドニゾロンを、4週間続けて使用し、その後、1~2週間ごとに5~10mgずつ減らしていきます。
 こうして8~12週間かけて1日10mgまで減らし、その後はこの量を続けます。薬を減らすのは、この薬の副作用を予防するためです。
 この治療で、約80%の人は血小板が増加しますが、薬の量を減らすと血小板数も減少することが多く、この治療だけで治ったり軽快する人は、全患者さんの3分の1くらいです。
②脾臓摘出(ひぞうてきしゅつ)(脾摘(ひてき))
 血小板は、おもに脾臓で分解されるので、脾臓を摘出します。ステロイドを使えない患者さんや、ステロイド療法を続けても血小板数が5万個以上にならない場合は、脾臓摘出を考えます。
 ふつう、ステロイドを使い始めて6か月たったところで、手術をするかしないかの判断をします。
 脾臓の摘出をすると、約半数の人はステロイドが必要なくなります。残りの半数の人も薬の量を減らすことができます。
 脾臓摘出をすると、子どもは感染症にかかりやすくなります。しかし、おとなでは、ほとんど副作用などの影響はありません。
③免疫抑制薬の使用
 ステロイド療法や脾摘が無効であったり、できない人には、免疫抑制薬を使用します。
 いろいろな使用方法がありますが、一例をあげると、プレドニゾロンを1日体重1kgあたり0.4mgと、シクロホスファミドないしアザチオプリンを1日体重1kgあたり1~2mg併用します。
 4週間続けて効果をみ、プレドニゾロンは、なるべく早く減量、ないし中止し、ほかの薬剤は有効なら使用を続けます。
④その他の治療
 白血病治療薬の硫酸(りゅうさん)ビンクリスチン、男性ホルモン誘導体のダナゾール、ビタミンCの大量使用、抗ハンセン病薬、α(アルファ)インターフェロンなどは、治療がうまくいかないときに使われることがあります。
 特発性血小板減少性紫斑病では血小板を輸血しても、体内ですぐに壊されてしまいますので、重要な臓器の出血を防ぐ緊急の必要があるときにだけ行なわれます。
 また、血液に含まれるたんぱく質であるγ(ガンマ)グロブリンを自然に近い形で大量に点滴する療法もあります。
 使用を続けて5日目ころから、血小板数が増え、7日後にピークに達しますが、それ以後は減少し、使用前の血小板数にもどってしまいます。
 効果が続かないので、手術、出産、重要な臓器の出血など、かぎられた場合にだけ行なわれます。

[日常生活の注意]
 血小板数が正常になり、治療をやめても減らなくなれば、ふつうの生活ができます。
 ただし、年に1回は、治療を受けた医療機関に行き、血液検査を受けることが必要です。
 血小板数の回復が十分でない場合は、1~2週間に1度、通院して外来で診察、治療を受けます。
 出血しやすいので、激しい運動はさけるようにしましょう。

出典|小学館
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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

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