猶子(読み)ユウシ

デジタル大辞泉 「猶子」の意味・読み・例文・類語

ゆう‐し〔イウ‐〕【猶子】

兄弟の子。おいめい
兄弟・親類または他人の子を自分の子としたもの。義子養子

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精選版 日本国語大辞典 「猶子」の意味・読み・例文・類語

ゆう‐しイウ‥【猶子】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ゆうじ」とも )
  2. 兄弟の子。甥(おい)。姪(めい)
    1. [初出の実例]「无顧命、猶子之義、礼家所貴」(出典:性霊集‐四(835頃)為酒人内公主遺言)
    2. [その他の文献]〔礼記‐檀弓・上〕
  3. 兄弟、親戚、また、他人の子を自分の子としたもの。仮に結ぶ親子関係の子の称。厳密には、養子と区別される。相続には関与できないのが通例であるが、例外もある。
    1. [初出の実例]「豈思、諄諄之意、切於猶子、懃懃之思、重於比児」(出典:三教指帰(797頃)上)
    2. 「僧正を御猶子にして、憐愍の志実子にすぎたり」(出典:古今著聞集(1254)二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「猶子」の意味・わかりやすい解説

猶子
ゆうし

兄弟・親類や他人の子と親子関係を結ぶ制度。平安期より貴族社会を中心に行われ、鎌倉期以降は武家でも行われた。中国における本義は兄弟の子の意。わが国では、仮親権勢をかりたり、一家・同族内の結束を強化するために行われた。養子とは異なり相続を目的としないというが、実際は明確な区別はなく、猶子ということで相続がなされる場合も多い。ときに両者をまったく同義で使用している場合がある。

[飯沼賢司]

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普及版 字通 「猶子」の読み・字形・画数・意味

【猶子】ゆうし

兄弟の子。

字通「猶」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の猶子の言及

【養子】より

…現代養子法のいま一つの機能は配偶者の(連れ)子を養子とする親族養子であり,アメリカ(年間10万件),イギリス(年間2万件)では全養子のほぼ半数をこれが占めている。
[日本]
 日本には古来,生前養子のほか死後養子があり,継嗣養子のほか猶子,実子(実子貰受け)があり,縁組の種類は多様であった。明治民法は通常の養子のほか婿養子と遺言養子を認めていたが,第2次大戦後の改正で婿養子・遺言養子が廃され,養子の種類は単一になった。…

※「猶子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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