新撰 芸能人物事典 明治~平成 「玉城盛重」の解説
玉城 盛重
タマグスク セイジュウ
出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報
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明治〜昭和期の俳優,舞踊家
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報
沖縄の舞踊家。首里金城(しゅりかなぐすく)に生まれる。12歳で明治初期の芝居の世界に入り、37歳で仲毛(なかもう)芝居を退き、沖縄戦で77歳で死去するまで、後進を指導し、沖縄の古典芸能を守り育てた。「琉球(りゅうきゅう)の団十郎」と評され、同じ仲毛出身の渡嘉敷守良(とかしきしゅりょう)(1880―1953)の女踊りに対し、男踊りの第一人者とされた。創作舞踊も多く、『むんじゅる』『浜千鳥(ちぢゅうやー)』『谷茶前(たんちゃめ)』など雑踊(ぞうおどり)の代表的なものはほとんど彼の手になる。1936年(昭和11)、折口信夫(おりくちしのぶ)を中心とする日本民俗協会主催の琉球古典芸能大会には座頭として参加した。
[宜保栄治郎]
…八重山列島では〈アユ〉〈アユウ〉とも呼ばれ農耕祭儀や航海安全,新築祝などの祝儀の場でうたわれる。踊りとしては,沖縄の著名な舞踊家であり芝居役者であった玉城盛重(たまぐすくせいじゆう)が,1897年ころ仲毛(なかもう)芝居で沖縄の田舎の若者の習俗である毛(もう)(野)遊びを宮古民謡の《クイチャーアーグ》の曲にのせて芝居のフィナーレ用の踊りとして振りつけたもの。三味線の手事(てごと)に合わせて大勢の男女がおのおの1列になり舞台の下手から上手に向かって〈スリッ,スリッ〉のはやしことばと道行の動作で出て来た後,4列になったり,円形になったりしてにぎやかに踊る。…
…現在も上演される《浜千鳥》《かなよう》《むんじゅる》《花風(はなふう)》《川平節(かびらぶし)》《金細工(かんぜいく)》などがそれで,これらは旧来の冠船踊に対して,雑踊(ぞうおどり)と総称された。当時,《むんじゅる》などを振り付けた玉城盛重は冠船踊にも熟達し,のちには踊師匠になって後継者養成に専念したので,近代沖縄芸能興隆の祖といわれる。新垣松含,渡嘉敷守良などの名優も輩出し,明治後期には3劇場に3座が鼎立して,歌の掛合で物語を運ぶ歌劇や,こっけい会話の狂言,歴史に取材した史劇などを次々に開拓し,沖縄芝居全盛期をつくりあげた。…
※「玉城盛重」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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