玩物(読み)もてあそびもの

精選版 日本国語大辞典 「玩物」の意味・読み・例文・類語

もてあそび‐もの【玩物】

〘名〙
① もてあそぶ対象とする器物。なぐさめにする道具おもちゃ。がんぶつ。
書紀(720)清寧三年一〇月(図書寮本訓)「犬・馬・器翫(もてアソヒモの)献上(たてまつ)ること得不(し)
② いつくしんで傍らに置き、心の慰めにする人。遊び相手。
源氏(1001‐14頃)乙女「明け暮れのもてあそびものに思ひきこえつるを」
③ つれづれをなぐさめる対象となるもの。
文明開化(1873‐74)〈加藤祐一〉初「譬へば七月七日に、牽牛織女が会合するといふ事なども、〈略〉文字に遊ぶ人の翫(モテアソ)びものと成て」
④ なぶりもの。なぐさみにするもの。一時的ななぐさみの相手。
社会百面相(1902)〈内田魯庵電影「散三弄(モテアソ)び物(モノ)にした挙句弊履(へいり)の如く棄てると云ふは」

がん‐ぶつ グヮン‥【玩物】

〘名〙
① 物をもてあそぶこと。珍奇なものを愛玩すること。
五重塔(1891‐92)〈幸田露伴〉三二「玩物(グヮンブツ)の念を嗟歎の灰の河に埋(うづ)めよ」
② もてあそびもの。おもちゃ。玩弄物。
※中右記‐寛治八年(1094)正月二七日「有須而欲退出間、有恩言翫物」 〔晏子春秋‐重而異者・景公見道自慙無徳晏子諫〕

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デジタル大辞泉 「玩物」の意味・読み・例文・類語

がん‐ぶつ〔グワン‐〕【玩物】

物をもてあそぶこと。また、もてあそぶもの。玩具

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普及版 字通 「玩物」の読み・字形・画数・意味

【玩物】がん(ぐわん)ぶつ

無用の物をもてあそぶ。清・黄宗羲〔七怪〕昔の學を學ぶなり。今の學は罵を學ぶなり。氣を矜るは則ち罵りて標榜と爲し、經世を志すは則ち罵りて功利と爲し、讀書作するは則ち罵りて玩物喪志と爲す。

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