珠光緞子(読み)しゅこうどんす

精選版 日本国語大辞典 「珠光緞子」の意味・読み・例文・類語

しゅこう‐どんす シュクヮウ‥【珠光緞子】

〘名〙 珠光が愛用したと伝える龍花唐草文の織物大名物・松屋肩衝の仕覆は、紺色の経と金茶の緯による平織地に、同じ金茶糸を用いて浮文を織り出した平地浮文織物。前田家旧蔵の緞子繻子織)も著名
松屋会記‐久好茶会記・慶長一四年(1609)一二月一二日「前に草部や肩つき、珠光段子袋に入、緒はむらさき、盆なし」

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デジタル大辞泉 「珠光緞子」の意味・読み・例文・類語

じゅこう‐どんす〔ジユクワウ‐〕【珠光×緞子】

珠光足利義政から拝領したものという》名物切めいぶつぎれの一。はなだの地に、渋い萌黄もえぎで唐草と竜および宝尽くしを細かく織り出した緞子

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「珠光緞子」の意味・わかりやすい解説

珠光緞子
じゅこうどんす

名物裂(めいぶつぎれ)の一つ。茶祖村田珠光(1423―1502)が愛用したと伝えられる裂。今日この名でよばれる名物緞子には幾種かあるが、いずれも濃い縹(はなだ)地に細蔓(つる)の花唐草(からくさ)と、その唐草に溶け込むような螭竜(みずち)が、金茶あるいは白と浅葱(あさぎ)の緯糸(よこいと)で織り出されている。地合いは一般に経(たて)五枚繻子(しゅす)地、文様は裏繻子組織によっているが、この緞子の本歌と伝えられる松屋肩衝(かたつき)茶入れ(根津美術館蔵)の仕覆(しふく)〈竜三瓜緞子〉は、平地の浮文織となっている。名物緞子のなかでも古様な渋い品格を示す裂で、製作期も中国の元末~明(みん)初にあてられる。類裂に紹鴎(じょうおう)緞子があり、すこし時代の下ったものに宗悟(そうご)緞子がある。

[小笠原小枝]

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