現代グループ(読み)げんだいぐるーぷ(英語表記)Hyundai group

日本大百科全書(ニッポニカ) 「現代グループ」の意味・わかりやすい解説

現代グループ
げんだいぐるーぷ / ヒュンダイ
Hyundai group

韓国(大韓民国)の巨大企業グループ三星(サムスン)グループSamsung groupや1999年7月に事実上解体した大宇(デウ)グループDaewoo groupと並んで韓国三大企業グループとよばれていた。現代財閥を構成していたが、2000年以降、現代グループは分裂した。現代グループに残ったのは、現代商船、対北朝鮮事業を展開している現代峨山(アサン)などであり、現代自動車現代重工業現代建設などは分離・独立した。

 1950年に鄭周永(ていしゅうえい/チョンジュヨン)(1915―2001)によって設立された現代建設が財閥のもとになり、国内の建設工事で基礎を固めた。1960年代に現代自動車、1970年代には現代重工業、現代綜合(そうごう)商事を設立。1980年代には電子メーカーの現代電子産業を設立、主要産業に進出した。現代グループの歴史は、第二次世界大戦後の韓国の重工業化政策の展開に沿った歩みであったが、江原道(こうげんどう/カンウォンド)出身の鄭周永は三星、大宇、ロッテ・グループなど慶尚道(けいしょうどう/キョンサンド)出身の財閥と異なり、南北朝鮮の統一問題や北朝鮮の経済支援の意味をもつ金剛山(こんごうさん/クムカンサン)観光開発などへの積極的な取組みもみられた。

 現代グループは、建設分野に現代建設、高麗(こうらい/コリョ)産業開発、自動車分野では現代自動車、現代自動車サービス、起亜自動車、電気機器分野では現代電子産業、石油精製を含む重工業分野では現代重工業、仁川(じんせん/インチョン)製鉄、現代精油、大韓アルミニウム工業など、金融サービス分野では現代綜合商事、現代商船、現代証券など19社を数え、海外264の支社・支店をもっていた。1997年以来の韓国経済の危機に際しては大規模なリストラクチャリング(経営再構築)によって体質の改善を図ったが、グループは分裂した。1998年末の総売上げは34兆1497億ウォン(282億7430万ドル)、総資産1兆2180億ウォン(10億0800万ドル)であった。

 2000年にグループの中核を担っていた現代建設が、アジア通貨危機などの影響で経営危機に陥り、さらに同族企業集団であるグループの後継者争いによる混乱が生じた。2000年以降、現代自動車、現代重工業などがそれぞれを中心とする企業群として現代グループから分離・独立し、巨大財閥は分裂した。現代建設も実質的に経営破綻(はたん)して債権銀行団の管理下に入り、グループから離脱した。

[上川孝夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android