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現物給与 げんぶつきゅうよwage in kind

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

現物給与
げんぶつきゅうよ
wage in kind

トラック・システム truck systemともいう。貨幣以外の物品や物品に相当する証券,金券などで支払われる給与。 19世紀のイギリス鉱山業,第2次世界大戦前の日本の鉱山などでみられ,また第2次世界大戦中に日本を含め世界各国で消費物資不足のため,賃金一部に対して現物支給が広く行われた。この方法は賃金労働者の自由な消費物資購入を阻害し,実質的賃金切下げになることが多かったこと,労働者を不当に職場に拘束するなどの弊害があり,その廃止は初期労働運動の重要な目標となった。各国政府も早くから規制に力を入れ,日本では 1916年実施の工場法でその原則禁止を定め,第2次世界大戦後は労働基準法 24条1項において,労働協約によって定める場合以外は原則として現物給与を禁止している。現在日本では現物給与はほとんど行われていないが,労働条件の重要な一部である企業などの福利施設の多くは,現物給与の一種であるとする見方もある。

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デジタル大辞泉の解説

げんぶつ‐きゅうよ〔‐キフヨ〕【現物給与】

給与の一部または全部通貨以外の物品で支給すること。

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百科事典マイペディアの解説

現物給与【げんぶつきゅうよ】

賃金の一部または全部に近いものを現物ないし実物(食料・住居・金券など)で支給すること。賃金は通貨払いが原則であるが,資本主義の初期には実物賃金制度トラック・システム)が広く用いられた。

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人材マネジメント用語集の解説

現物給与

・payment in kind
・賃金の一部を金銭(通貨)以外の、現物で支給することを指す。
・労働基準法によって賃金は、「通貨による支給の原則」が規定されているが、労働協約等の定めにより現物による支給も可能となっている。
・原則的に提供された現物給与を金銭に換算した額で所得税が課されるが、一定の範囲内で非課税となるものもある。
・主な非課税現物給与は、通勤定期乗車券 100,000円/月、永年勤続者の表彰記念品(社会通念上妥当な範囲)、創業記念品(社会通念上妥当な範囲)、クリーエーション費用等の負担 (社会通念上妥当な範囲)等である。

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世界大百科事典 第2版の解説

げんぶつきゅうよ【現物給与】

通貨によってではなく,企業の製品や食料品,住居などの現物またはそれにかわるもので支払われる賃金。トラック・システムtruck system(実物賃金制度)ともよばれ,資本主義発展の初期に広範に存在した。イギリスでは,ときに,雇主は賃金の全額を現物で支払ったり,雇主またはその仲間の経営するトミー・ショップtommy shopsとよばれた売店でのみ使用可能な金券で賃金の一部を支払った。同様の金券は日本でも山札や金札とよばれ,明治・大正期に鉱山や土建業の飯場で広くみられた。

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大辞林 第三版の解説

げんぶつきゅうよ【現物給与】

通貨ではなく、企業の生産物や生活必需物資などの物品で労働者に支払われる給与。労働基準法で原則として禁止されている。実物賃金。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

現物給与
げんぶつきゅうよ

賃金を通貨で支給するかわりに、その一部または全部を当該企業の製品、その他の生活必需品、金券などで支払うもの。現品給与、実物給与、現物支払制などともよばれる。とくに、労働者が生産する製品を賃金の一部として支給することをトラック・システムtruck systemという。日本の労働基準法第24条は、賃金の通貨支払い原則を規定しているが、労働協約によって実物の評価額を定めることなどを条件に現物給与も認めている。資本主義初期の原生的労働関係下に、資本家による賃金減額、労働者の足止め策として広範に存在した。日本でも炭鉱業などで多くみられたが、現在は特別な場合を除いてほとんど存在しない。[横山寿一]

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