生紙(読み)キガミ

精選版 日本国語大辞典 「生紙」の意味・読み・例文・類語

き‐がみ【生紙】

  1. 〘 名詞 〙 のりを加えないですいた紙。すいたままで、その後の加工をしない粗製紙。生漉紙(きずきがみ)
    1. [初出の実例]「今朝捧物 生紙絵 各三枚、帖紙十帖」(出典:兵範記‐仁平三年(1153)五月三日)
    2. 「生紙(キガミ)唐土にて凶礼に用ゆ」(出典随筆・孔雀楼筆記(1768)二)

せい‐し【生紙】

  1. 〘 名詞 〙(す)いたままで、加工してない粗製の紙。きがみ。〔韓愈‐与陳給事書〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「生紙」の意味・わかりやすい解説

生紙
きがみ

いわゆる生漉(きず)き紙のことで、米糊(こめのり)などを加えずに純粋な材料だけで漉いた和紙。また、つや出しなどの加工をいっさい施さない漉いたままの和紙をいう。熟紙(じゅくし)(漉いた後なんらかの加工を施した紙)に対する語で、749年(天平勝宝1)の『正倉院文書』に初めて用語例がみられる。

 北飛騨(ひだ)(岐阜県)の方言では一般に手漉き和紙のことをさすが、岩手県上閉伊(かみへい)郡では美濃(みの)紙を意味することもある。

[町田誠之]

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普及版 字通 「生紙」の読み・字形・画数・意味

【生紙】せいし

きがみ。

字通「生」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の生紙の言及

【和紙】より

…しかし,《正倉院文書》などの調査によると,麻紙とされた紙にも,コウゾやガンピを混ぜて使用したものがあるという。麻紙の紙肌は粗く,筆で書きにくいので,写経所などでは牙などで磨く瑩紙(えいし)や槌でたたく打紙(うちがみ)などの加工を施した(瑩紙や打紙などの加工を施した紙を熟紙(じゆくし)といい,漉き上げたままの加工されていない紙を生紙(きがみ)と呼び,区別されていた)。また麻の繊維は長くて強靱なため,5mmほどの長さにいちいち切断するか,麻布を臼でひくなどの原料処理の手間がかかる。…

※「生紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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