(読み)しょう(英語表記)sheng

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


しょう
sheng

中国演劇の役柄の一つ。老生 (長いひげをつけた大人役) ,小生 (二枚目役) ,武生 (武人役) ,文武老生 (老生と武生を兼ねた役柄) から成る。老生が主演する劇を老生劇といい,京劇の主流である。豪快な程長庚,洗練された譚しん培はともに老生の祖といわれ,京劇の祖でもある。

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デジタル大辞泉の解説

いく【生】

[接頭]名詞に付いて、生き生きとして生命力のある、という意を表す。「井」
「―太刀(たち)と―弓矢また其の天の沼琴(ぬごと)を取り持ちて」〈・上〉

き【生】

[名]まじりけがないこと。「ウイスキーをで飲む」
[接頭]名詞に付く。
純粋でまじりけがない、新鮮な、の意を表す。「娘」「まじめ」
人工を加えていない、自然のままの、の意を表す。「糸」「ぶどう酒」「醤油(じょうゆ)」

しょう〔シヤウ〕【生】

[名]
いのち。生命。生きていること。「この世にを受く」「ある者は必ず死す」
なまのもの。特に、現金をいう。
「帯ぢゃ名が立つ、―でたもれ」〈浄・歌軍法〉
生まれ。素姓。
「―が入聟(いりむこ)だのに」〈滑・浮世風呂・三〉
[名・形動ナリ]あるものとそっくりなこと。また、そういうさま。
「目つきや口もとがおとっさんに―だねえ」〈人・娘節用・三〉

せい【生】

[名]
生きていること。「と死の分かれ目」⇔
生命。いのち。「この世にをうける」「なきもの」
毎日の暮らし。生活。「充実したを送る」
[代]一人称の人代名詞。男性が自分をへりくだっていう語。わたくし。小生。
「妻より君へあてたる手紙、ふとしたることより―の目に触れ」〈藤村
[接尾]人名に付いて、へりくだった意を添える。手紙文などで、差し出し人の姓または姓名の下に付けて用いる。「山田

せい【生】[書名]

田山花袋自然主義的な小説。明治41年(1908)発表。小市民家庭の老母の死の前後を中心に、その子供たちの生活と相克する感情を描いた自伝的小説。

せい【生】[漢字項目]

[音]セイ(漢) ショウ(シャウ)(呉) [訓]いきる いかす いける うまれる うむ おう はえる はやす き なま うぶ なる なす
学習漢字]1年
〈セイ〉
いきる。いきている間。「生活生存生物生命人生長生半生余生
命。いきているもの。「衛生蒼生(そうせい)
うむ。うまれる。「生産生殖生誕生地新生胎生卵生
物事が現れる。生ずる。「生起派生発生
草木がはえる。「群生自生対生密生
いきいきしている。「生気生色生鮮生動
なま。熟していない。「生硬生食
まだ勉強の途中にある人。「生徒学生塾生書生優等生
他人に対する尊称。「先生
10 自分の謙称。「愚生小生老生
11 (「」の代用字)動物がすむ。「両生類
〈ショウ〉
いきる。いきている間。「生涯一生後生今生(こんじょう)
命。いきもの。「生類衆生(しゅじょう)殺生畜生養生(ようじょう)
うむ。うまれる。「生得生滅往生(おうじょう)出生誕生(たんじょう)生老病死
草木がはえる。「実生(みしょう)半夏生(はんげしょう)
加工しない。「生薬
〈なま〉「生木生傷生水
〈き〉「生糸生地(きじ)生一本
[名のり]あり・い・いき・いく・う・うまる・お・おき・すすむ・たか・なり・ふ・ふゆ・よ
[難読]生憎(あいにく)晩生(おくて)生姜(しょうが)生薑(しょうが)生絹(すずし)園生(そのう)作麼生(そもさん)什麼生(そもさん)生業(なりわい)埴生(はにゅう)寄生木(やどりぎ)弥生(やよい)蓬生(よもぎう)早生(わせ)

なま【生】

[名・形動]
食物などを煮たり焼いたりしていないこと。加熱・殺菌などの処理をしていないこと。また、そのさま。「魚をで食う」「しぼりたてのの牛乳」
作為がなく、ありのままであること。また、そのさま。「国民のの声」
「―な身をもってしたおのれの純粋体験から」〈長与竹沢先生と云ふ人

㋐演技・演奏などを直接その場で見たり聞いたりすること。「の舞台」
㋑録音・録画などによらないで直接その場から放送すること。「の番組」
技術・経験などが未熟であること。また、そのさま。
「石鹸(しゃぼん)なんぞを、つけて、剃るなあ、腕が―なんだが」〈漱石草枕
生身の男女の性器。性具に対して実物をいう。また、避妊具をつけない状態での性交のこと。
生意気」の略。「を言う」「おな子」
生ビール」の略。「ビールはがうまい」
[副]なんとなく。中途半端に。
「この男も―頭(かしら)痛くなりて」〈今昔・二七・二〇〉
[接頭]
名詞に付いて、いいかげんな、中途半端な、などの意を表す。「返事」「あくび」「煮え」
形容詞・形容動詞に付いて、少しばかり、何となく、などの意を表す。「ぬるい」「暖かい」
人を表す名詞に付いて、年功が足りない、世慣れていない、年が若いなどの意を表す。「女房」「侍」

ふ【生】

が茂る所。複合語として用いられることが多い。「浅茅(あさぢ)」「芝」「園(その)」「蓬(よもぎ)
「白檮(かし)の―に横臼(よくす)を作り」〈・中・歌謡〉

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大辞林 第三版の解説

いく【生】

( 接頭 )
名詞に付いて、いきいきとしている、久しく栄える、の意を表す。 「 -玉」 「 -柳/琴歌譜」 「 -大刀/古事記

き【生】

[1] ( 名 )
混ぜ物を加えていないこと。 「ウイスキーを-で飲む」
( 接頭 )
名詞に付く。
人手が加えられていない、もとのままである、精製してないなどの意を表す。 「 - 醬油じようゆ」 「 -糸」
(性質や状態が)純粋でまじりけのない、新鮮な、などの意を表す。 「 -娘」 「 -真面目」

しょう【生】

〔呉音〕
生きているもの。命あるもの。生きもの。いのち。せい。 「この世に-をうける」 「 -を苦しめて目を喜ばしむるは桀・紂が心なり/徒然 121
生きること。生存。生活。 「 -の中におほくの事を成じようじて後、閑しずかに道を修しゆせんと思ふほどに/徒然 241
本物。真実。 「つれの名をふられたやつは-で言ひ/柳多留 3
〔「しょううつし(生写)」の略〕 よく似ていること。また、そのもの。 「目つきや口もとがおとつさんに-だねえ/人情本・娘節用」
なまのもの。現金をいう。 「帯買うてやろぞ、帯ぢや名が立つ-でたもれ/浄瑠璃・持統天皇」
[句項目] 生を隔つ

せい【生】

( 名 )
生きていること。 「 -の喜び」 「 -を営む」
生命。いのち。 「 -を全うする」
〘哲・宗〙 〔ドイツ Leben〕 個体が生命をもち活動すること。また、その体験としての生活。肉体から離れた霊魂そのものを生とする宗教的考え方は、今生・他生・永生などの観念のもととなり、生を自然とは異なった非合理なものと捉えることから、生気論や生の哲学が主張される。
▽⇔
( 代 )
一人称。男子が自らをへりくだっていう語。小生。 「 -の愚考するところ」
( 接尾 )
男子が自分の名に付けて、へりくだる意を添える。多く手紙などで用いられる。 「青木-」

なま【生】

( 名 )
火を通していないこと。煮たり焼いたりしていないこと。 「 -の野菜」 「 -で食べる」 「 -クリーム」 「ねへさん-で一合/安愚楽鍋 魯文
作為をほどこさず、自然のままであること。 「民衆の-の声に接する」
演奏や歌唱などについて、その場でじかに聞くこと。 「 -の演奏」
録画・録音などによらず、直接放送すること。 「 -の放送」
「生意気」の略。 「 -を言うな」 「お-さん」
現金。現なま。 「お足とは-の事か/浄瑠璃・祇園女御九重錦」
「生酔なまえい」の略。 「お嶋は酒に酔くずれ、ひよろり〱と-になり/浄瑠璃・二枚絵草紙
「生ビール」の略。
( 形動 )
技術などが未熟なさま。 「石鹼しやぼんなんぞを、つけて、剃るなあ、腕が-なんだが/草枕 漱石
( 副 )
中途半端に。なまじっか。 「 -に風雅めかす娼妓あれば/当世書生気質 逍遥」 「この男も-頭かしら痛くなりて/今昔 27
( 接頭 )
名詞に付いて、十分でない、いいかげんなものであること、未熟なものであることを表す。 「 -返事」 「 -あくび」 「 -兵法びようほう
形容詞・形容動詞に付いて、なんとなく、すこしなどの意を表す。 「 -やさしい」 「 -ぬるい」 「 -白い」 「 -暖かだ」 〔古くは「なま隠す」などのように、動詞に付いても用いられた〕
動詞の連用形から転じた名詞に付いて、それが中途半端である意を表す。 「 -煮え」 「 -乾き」 「 -かじり」 「 -殺し」 「 -焼け」

ふ【生】

草木が生い茂っている所。「園生そのふ」「芝生しばふ」など、名詞の下に付けて複合語として多く用いられる。 「かしの-に横臼よくすをつくり/古事記 」 「桜麻さくらあさの麻-の下草/万葉集 3049

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精選版 日本国語大辞典の解説

いき【生】

[1] 〘名〙 (動詞「いく(生)」「いきる(生)」の連用形の名詞化)
① 生きること。生きていること。⇔死(しに)
万葉(8C後)九・一七八五「死にも生(いき)も 君がまにまと」
② 魚肉や野菜などの新鮮さ。転じて、態度や動作が活発でいきいきしていること。生気。勢。
※評判記・難波物語(1655)「あぢのわろきふたをいれられ、いきのよからぬかづきにあふて」
③ 印刷で、原稿や校正刷で一度消した字をいかしてもとのままにするように指示する語。普通イキと片仮名で朱書する。
④ 囲碁で、目が二つ以上あって相手にとられないこと。いき石。
[2] 〘接頭〙 卑しめ罵る意を表わす。近世「いき傾城」「いき畜生」「いき盗人」などのように用いられた。
※天理本狂言・河原太郎(室町末‐近世初)「又女房きいて、しかしか云て、あのいきぢくしゃうめがと云」

い・きる【生】

〘自カ上一〙 い・く 〘自カ上二〙 (四段活用から転じて、平安中期頃から使われた)
① 生物として活動する。命を保つ。生存する。また、死にそうな状態からのがれて助かる。⇔死ぬ
※宇治拾遺(1221頃)二「この里の人々、とく逃げのきて命いきよ」
※日葡辞書(1603‐04)「イノチヲ iquru(イクル)
※家(1910‐11)〈島崎藤村〉下「生きたくないと思ったって、生きるだけは生きなけりゃ成りません」
② 一度死んだ状態におちいったものが、命をとりもどす。よみがえる。蘇生する。
※興風集(11C頃)「死ぬる命いきもやするとこころみに玉の緒ばかりあひみてしがな」
※当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一六「扶(たす)けて介抱したればとて、また蘇(イク)べくも見えざるから」
③ (「たり」や「た」などをつけて用いる) 生命がこもっている。生き生きとしている。実際に活動している。
※至花道(1420)無主風の事「是(これ)、いきたる能なるべし」
④ 生命をもたないものに、命がふきこまれる。生じる。
※草枕(1906)〈夏目漱石〉一「只まのあたりに見れば、そこに詩も生き、歌も湧く」
⑤ 有効な働きをする。意味をもつ。効果があがる。実効がある。
※春迺屋漫筆(1891)〈坪内逍遙〉梓神子「死せるが如き平等ありて活(イ)きたる差別の些も無きをめでたうござると言はるべきか」
⑥ (「…に生きる」の形で) ある物事に精魂を打ち込む。生きがいを見いだす。
※竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生富士を観る「強ひて云はば孔子の所謂『文』に生きる人とでも答へるよりない」
⑦ 印刷物の校正で、一度消したものをもとどおりでよいとする。普通、カタカナで表記する。
※不如帰(1898‐99)〈徳富蘆花〉上「五六七などの数字、或は羅馬数字。〈略〉一度消してイキルとしたるもあり」
⑧ 碁で、相手の石に囲まれた石が目を二つ以上もつ状態になる。
⑨ 遊興代が払えない客に対し、家までいっしょに行って支払いを受けることを花柳界でいう。
[補注]江戸時代には、仮定条件を表わす表現の場合に、ラ行四段のように活用させた例として「洒・南閨雑話‐結ふゑにしの体」に「いきらばもろとも、しぬはてんでんサ」がみられる。
[語誌]→「いく(生)」の語誌

い・く【生】

[1] 〘自カ四〙
① 命を保つ。生存する。また、死ぬような状態からのがれて助かる。⇔死ぬ
※万葉(8C後)一八・四〇八二「あまざかる鄙(ひな)の奴(やつこ)に天人(あめひと)しかく恋ひすらば伊家(イケ)るしるしあり」
徒然草(1331頃)一四〇「後は誰(たれ)にと心ざす物あらば、いけらんうちにぞ譲るべき」
② 死んだもの、死にかけたものが命をとりもどす。よみがえる。
霊異記(810‐824)上「逕(ふ)ること三日乃ち蘇(さ)め甦(イキタリ)〈興福寺本訓釈 甦 伊支太利〉」
③ 生命がこもる。生き生きする。
※竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉自序「一の実践的に生ける思想として」
[2] 〘自カ上二〙 ⇒いきる(生)
[3] 〘他カ下二〙 ⇒いける(生)
[語誌]自動詞としては古くは四段活用のみであったが、平安末期頃から上二段活用が生まれ、次第に交替していった。和歌では「行く」を掛けて用いることもある。

うま・る【生】

〘自ラ下二〙 ⇒うまれる(生)

うまれ【生】

〘名〙 (動詞「うまれる(生)」の連用形の名詞化)
① 生まれること。誕生。
※拾遺(1005‐07頃か)物名・四三〇「むまれよりひつじ作れば山にさる独りいぬるに人ゐて在(いま)せ〈よみ人しらず〉」
② 生まれた場所。出生地。生国。
※書紀(720)欽明五年三月(寛文版訓)「佐魯麻都は是れ韓の腹(ムマレ)たりと雖も、位大連(まうちぎみ)に居り」
※歌舞伎・青砥稿花紅彩画(白浪五人男)(1862)四幕「問はれて名乗るもおこがましいが、産れは遠州浜松在」
③ 生まれつきの性質。天性。稟性(ひんせい)
※虎寛本狂言・老武者(室町末‐近世初)「不調法な生れで、面目も御座らぬ」
④ その人が生まれた環境、家柄、素性。
※狐の裁判(1884)〈井上勤訳〉八「悪しき僧侶は其の生来(ウマレ)の如何に高く貴くとも」

うま・れる【生】

〘自ラ下一〙 うま・る 〘自ラ下二〙 (平安以降「むまれる」とも表記)
① 母体や卵から子が出る。出生する。誕生する。
※万葉(8C後)九・一七五五「うぐひすの 卵(かひご)の中に ほととぎす 独り所生(うまれ)て」
※源氏(1001‐14頃)桐壺「たまのをのこ御子(みこ)さへうまれ給ひぬ」
② (仏教思想で) 死後、この世に再び現われ出る。また、死後、別の世界に現われ出る。
※源氏(1001‐14頃)夕顔「さてこそ九品(ここのしな)の上(かみ)にもさはりなくむまれ給はめ」
③ (①の比喩的用法) 物事やある状態が新しくできあがる。
※草枕(1906)〈夏目漱石〉六「成程音楽は斯(かか)る時、斯る必要に逼(せま)られて生まれた自然の声であらう」
④ 月初めの立会いで、新しく出る先物に相場がつけられる。〔取引所用語字彙(1917)〕

お・う おふ【生】

[1] 〘自ハ上二〙 (草木・毛などが)はえる。生じる。おえる。
※古事記(712)下・歌謡「本には い組竹淤斐(オヒ) 末へには た繁(しみ)竹淤斐(オヒ)
※古今(905‐914)離別・三六五「立ちわかれいなばの山の峯におふる松としきかば今かへりこむ〈在原行平〉」
[2] 〘自ハ下二〙 ⇒おゆ(生)

お・える おへる【生】

〘自ハ下一〙
陰茎が勃起する。おやける。
※史記抄(1477)五「男根のをへるを陸梁すると云ほどにぞ」

おお・す おほす【生】

〘他サ四〙 (自動詞「おう(生)」の他動詞化したもの)
① 草木などを育てる。
※書紀(720)神代上(丹鶴本訓)「夫の噉ふべき八十木種(やそのこたね)皆能く播(ま)き生(ヲホシ)つ」
② 髪、爪などをのばす。はやす。
※青表紙一本源氏(1001‐14頃)薄雲「この春よりおほす御ぐし」
③ 親などが子どもを養い育てる。養育する。成長させる。
※宇津保(970‐999頃)蔵開中「この宮たちを、〈略〉おほしたてまつり」

おや・ける【生】

〘自カ下一〙
① 腹を立てる。おこる。〔東京語辞典(1917)〕
② 生え立つ。陰茎が勃起する。

おや・す【生】

〘他サ四〙 (「おえる(生)」の他動詞形)
① はえるようにする。はやす。おやかす。また、生み出す。成長させる。
御伽草子・富士の人穴草子(室町時代小説集所収)(室町末)「髪の長さ百ぢゃうばかりにおやして」
② 陰茎を勃起させる。おやしたてる。おやかす。
※咄本・昨日は今日の物語(1614‐24頃)上「馬めが、かの物をおやしてをりけるを」
③ 歌舞伎の下座音楽で、役者の声が聞こえるように弱い音で演奏していた楽器の音をもとのように強くする。会話が終わった時などに用いるもので、おもに三味線に対していう。⇔霞(かす)める

お・ゆ【生】

〘自ヤ下二〙 (ハ行下二段動詞「おふ(生)」から転じて、室町時代頃から用いられた語。多くの場合、終止形は「おゆる」) =おう(生)
※撰集抄(1250頃)五「かしらとてかみのをゆべき所には」

おわる おはる【生】

〘自動〙 上代東国方言。動詞「おう(生)」の連体形「おうる」にあたるものか。生える。
※万葉(8C後)一四・三五〇一「安房峯(あはを)ろのをろ田に於波流(オハル)たはみづら引かばぬるぬる吾を言(こと)な絶え」
[補注]一説に、「おう(生)」の連用形「おひ」に「あり」の付いた「おひあり」の変化した「おへる(生)」の東国方言ともいうが、「おう(生)」が上二段活用のため「生へる」の形の存在は疑問。

き【生】

[1] 〘接頭〙 (「いき(生)」の変化した語か)
① 原産のままで人手を加えてない、また精製してない意を表わす語。生(なま)。「生糸」「生漆」「生渋」「生ぶどう酒」「生蝋」「生醤油」など。
② 純粋でまじりけのない、新鮮な、の意を表わす語。「生娘」「生そば」「生酒」「生一本」「生まじめ」など。
[2] 〘名〙 (形動) 本来のままの状態で、まじりけのないこと。また、そのさま。
① 性格や作品などが純粋であること。
※放浪時代(1928)〈龍胆寺雄〉二「初期の作品だけに、一層まじめでもあり生(キ)で情熱的ではあったが」
② 酒類などで、水や他の液体で薄めたり割ったりしないもの。
金貨(1909)〈森鴎外〉「考へずに生(キ)の酒を飲む」

しょう シャウ【生】

〘名〙 (「しょう」は「生」の呉音)
① 生まれること。せい。
※今昔(1120頃か)七「我、既に聖人の徳に依るが故に、鬼の道を免れて生を改る事を得たり」
② 生きていること。命のあること。生存。せい。
※今昔(1120頃か)三一「先づ中有と云て、生(しゃう)未だ不定ぬ程は」
※謡曲・道成寺(1516頃)「生は滅法の始め、終に寂滅をもって楽しみとす」 〔守護国界主陀羅尼経‐五〕
③ いのち。この世での生命。せい。
※和漢朗詠(1018頃)下「生ある者は必ず滅す、釈尊いまだ栴檀の煙を免かれたまはず〈大江朝綱〉」
※曾我物語(南北朝頃)七「人界にしゃうをうくる者、誰かは後の名残惜しからで候べき」 〔北本涅槃経‐二〕
④ 生命を支配する本源と考えられるもの。生気。元気。正気。
※役者論語(1776)佐渡島日記「ふりはもんくに有、もんくの生(シャウ)なき時は、品をもってす」
⑤ 生きもの。命あるもの。生物。
※徒然草(1331頃)一二一「生(しゃう)を苦しめて、目を喜ばしむるは、桀・紂が心なり」
⑥ (形動) ある物と似ていてそっくりそのままであること。ある物をそのまま実物にした感じであること。また、そういうさま。
※評判記・難波の㒵は伊勢の白粉(1683頃)二「当所に西川とやらん生の哥のすけがあるげな」
※人情本・仮名文章娘節用(1831‐34)三「目つきや口もとがおとっさんに生(セウ)だねへ」
⑦ なまのもの。もともとのもの。現金をさしていう。
※浮世草子・好色盛衰記(1688)一「此三十目をねがはくは一角生(シャウ)で給はるが、拙者どもが勝手なり」
⑧ 生まれ出たところ。本来の素性。
※洒落本・傾城買二筋道(1798)夏の床「大道で薬を売よふに、のみこみすがたをいっても、せうが入れ知恵といふものだから」

しょう・じる シャウじる【生】

(サ変動詞「しょうずる(生)」の上一段化したもの)
[1] 〘自ザ上一〙 =しょうずる(生)(一)
※開化問答(1874‐75)〈小川為治〉初「旧平君、足下(おまへ)まだ正真の道理をしんなさらぬゆゑ、かかる疑の生(シャウ)じることにて」
[2] 〘他ザ上一〙 =しょうずる(生)(二)
※東京の三十年(1917)〈田山花袋〉文学者交遊「疑惑を生じさせなかった素になったといふことだけは言へると思ふ」

しょう‐・ず シャウ‥【生】

〘自他サ変〙 ⇒しょうずる(生)

しょう‐・ずる シャウ‥【生】

[1] 〘自サ変〙 しゃう・ず 〘自サ変〙
① ある作用や事態が起こる。発生する。
※風姿花伝(1400‐02頃)六「音曲よりはたらきのしゃうずるは、劫(こう)入りたるゆへ也」
※黄表紙・文武二道万石通(1788)上「武備におこたる心しゃうずべし」
② はえたりなったりする。できる。
※今昔(1120頃か)一「蓮花の地より生ずる事は、地神の化する所也」
※黄表紙・高漫斉行脚日記(1776)上「鼻たかくして羽生(シャウ)じ」
③ 人や動物などがうまれる。
※今昔(1120頃か)三「生ぜる者必ず不滅るは无し」
④ 生きる。生息する。
※玉塵抄(1563)五〇「蠡の類は雲南に生するぞ」
※足利本論語抄(16C)述而第七「八百歳まで生するほどに」
[2] 〘他サ変〙 しゃう・ず 〘他サ変〙
① ある作用や事態を起こす。でかす。
※今昔(1120頃か)一「五大より貪欲・瞋恚等の諸(もろもろ)の煩悩を生ず」
※読本・雨月物語(1776)白峯「やがて天が下に大乱を生(シャウ)ぜしめん」
② はやしたり、ならせたりする。
※米沢本沙石集(1283)七「福田の中に荊棘を生ぜんや」
※学問のすゝめ(1872‐76)〈福沢諭吉〉九「一粒の種を蒔けば二三百倍の実を生じ」
③ 人や動物などを産む。
※今昔(1120頃か)一「人の家に多少の男子を生ぜるは」

せい【生】

[1] 〘名〙
① この世に生まれ出ること。出生。また、生きること。生命を保つこと。しょう。
※太平記(14C後)一八「死は一心の義に向ふ処に定り、生は百慮の智を尽す中に全し」
※読本・椿説弓張月(1807‐11)拾遺「この三人の大臣は、〈略〉生(セイ)を貪り死を怕れ、忠も義もなき剛弼(しれもの)なれば」 〔列子‐仲尼〕
② いのち。生命。しょう。
※随筆・胆大小心録(1808)七二「みづから庖(くりや)に入りて、生を断たずは、何の忌む所かあらん」
③ 生活。生活のための仕事。生業。また、産業、生産。
※ダンテについて(1927)〈正宗白鳥〉二「彼が流竄の生を送ってゐる間」 〔史記‐貨殖伝〕
④ 中国の伝統演劇用語で、男の主役のこと。
※唐土奇談(1790)一「立役を生(セイ)といふ」
[2] 〘代名〙 自称。男子が自分を謙遜(けんそん)して用いる語。小生。
※内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉八「生(セイ)義ちかごろは横浜に赴き、仏の領事館に勤め居れり」
[3] 〘接尾〙 人名の下に付けて、みずからを謙遜(けんそん)する意を添える。多く手紙などで、書く本人の姓、または姓名の下に付けて用いる。
※彼岸過迄(1912)〈夏目漱石〉風呂の後「親愛なる田川君として下に森本生(セイ)よりとあるのが何より先に眼に入った」
[4] 小説。田山花袋作。明治四一年(一九〇八)発表。明治中期の平凡な小市民家庭を描いた作者の自伝的小説。気むずかしい老母の癇癪(かんしゃく)によって起こる家庭内の新旧両世代の対立を赤裸々に描写したもの。

なま【生】

[1] 〘語素〙 まだ十分でないさま、熟していないさまを表わす。「なましい」「なまなか」「なまなま」「なまめく」などの形で用いる。
[2] 〘接頭〙
① 動詞、形容詞、形容動詞などの用言の上に付いて、すこしばかり、中途はんぱに、の意を添える。「なま隠す」「なまあくがる」「なま心苦し」「なまやさしい」「なまわろし」「なま若い」「なまあたたか」など。
※宇津保(970‐999頃)内侍督「御ぐしのなましめりたる、いそぎほし給ふ」
② 人を表わす名詞の上に付けて、その人物が形の上ではその名詞の表わす地位とか身分を備えていても、実体はそれに及ばない未熟な状態であることを示す。後世には、他人を軽蔑するような意味の名詞に付けて、その気持を強めるような用い方もする。「なま女房」「なま受領」「なま学生」など。
③ 動詞の連用形の変化した名詞の上に付けて、その名詞の表わす動作が中途はんぱである意を表わす。「なま煮え」「なま焼き」「なま聞き」「なまかじり」など。
※玉塵抄(1563)三二「ありさうながなま見にしたか」
④ ふつうの名詞の上に付けて、その現象や状態が、中途はんぱでいい加減なものであることを表わす。「なま兵法」「なま意見」など。
※今昔(1120頃か)二八「生夕暮方に房に返て、人にも不見せずして、皆鍋に切入れつ」
[3] 〘副〙 未熟で中途はんぱである意を表わす。中途はんぱに。なまじっか。すこしばかり。
※源氏(1001‐14頃)蓬生「御調度どもをいと古体になれたるが、昔様にてうるはしきを、なま、物のゆゑ知らんと思へる人、さる物要(えう)じて」
[4] 〘名〙
① (形動) 植物や動物が生きて生活していた時と同じであること。それらの加工していない状態をいう。また、そのもの。成熟していない状態にもいう。
※古活字本荘子抄(1620頃)五「なまなる物熟したる物が目前にあまるほどあり」
※滑稽本・八笑人(1820‐49)二「真木(まき)が生(ナマ)で、一と処さへいぶって計ゐて、やうやう焚(たい)たものを」
※渋江抽斎(1916)〈森鴎外〉六二「生(ナマ)で食ふときは大根(だいこ)おろしにし」
② (形動) 手を加えない自然のままの状態、もとのままの状態などを比喩的にいう。名詞の上に付いて、接頭語的にも用いる。「なま放送」「なま原稿」
※歌舞伎・水天宮利生深川(筆売幸兵衛)(1885)序幕「『今大恩寺前へ行く土手ぷちで、丁度いい野郎が来たから刃物でおどして引っぱいだのよ』『そいつをお生で着て居るとは、ひどい肚胸(どきょう)になったなあ』」
※竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生の家「生まな身を以てした己れの純粋体験から」
③ (形動) 技術や経験・物事の程度などが不十分でいい加減であるさまをいう。
※咄本・軽口もらいゑくぼ(1716‐36頃)四「此男もなまなる口上を云ふて」
※草枕(1906)〈夏目漱石〉五「石鹸(しゃぼん)なんぞを、つけて、剃るなあ、腕が生なんだが」
④ 「なまえい(生酔)」の略。
※浄瑠璃・心中二枚絵草紙(1706頃)下「お嶋は酒に酔くづおれ、ひょろりひょろりとなまになり」
⑤ (形動) 「なまいき(生意気)」の略。
※歌舞伎・与話情浮名横櫛(切られ与三)(1853)二幕「やい与三、生(ナマ)言ふなえ」
⑥ 「なまビール(生━)」の略。
※黒雨集(1923)〈田中貢太郎〉蛾「『野菜サラダが出来るかね』『出来ますわ』『ぢゃ、それと、ナマを貰はうか』」
※放浪時代(1928)〈龍胆寺雄〉二「生麦酒(ナマ)を三つ註文した」
⑦ (「現なま」の意) 現金。現金を「生(しょう)」といい、それを訓読したものともいう。
※浄瑠璃・祇園女御九重錦(1760)一「何(なん)ぢゃ、旅人の足を口合に、お足とはなまの事か」
⑧ 生身の男女の性器。張形(はりがた)や吾妻形(あづまがた)に対して実物をいう。また、避妊具を付けない状態での性交をいう。
※雑俳・柳多留‐三五(1806)「長局いはんや生(なマ)においておや」
⑨ (形動) 身体などが弱ってくるさまをいう。
※落語・西京土産(1892)〈三代目三遊亭円遊〉「身躰が柔弱(ナマ)ん成ってるから」
⑩ 録画・録音でないこと。直接その場で見たり聞いたりすること。
※苦笑風呂(1948)〈古川緑波〉映画それからそれ「映画のロッパの方が優勢で、芝居のナマの方は、喰はれてしまったのであった」

なま‐し【生】

なま‐し・い【生】

〘形口〙 なまし 〘形シク〙
① なまである。なまなましい。また、生きている。
※涅槃経集解巻十一平安初期点(850頃)「生(ナマ)しき穀を貯へ聚め」
※御伽草子・酒呑童子(室町末)「又傍を見給へば死骨白骨なましき人」
② 未熟である。不十分である。
※聖語蔵本成実論天長五年点(828)一六「譬ば熟める廱(はれもの)は壊るること則ち易し、生(ナマ)しきときは則ち破るること難きが如く」
※梵舜本沙石集(1283)二「衆生の機なましき時は、感応なし」

なまり【生】

〘名〙 「なまりぶし(生節)」の略。《季・夏》 〔本朝食鑑(1697)〕

なら・す【生】

〘他サ四〙 実を結ばせる。果実をみのらせる。
※歌謡・閑吟集(1518)「忍ぶ軒端に瓢箪はうへてな、をいてな、ははせてならすな」

はえ‐・す【生】

〘自サ変〙 はえることをする。はえる。
※万葉(8C後)一四・三四九一「柳こそ切れば伴要須礼(ハエスレ)世の人の恋に死なむをいかにせよとそ」

は・える【生】

〘自ア下一(ヤ下一)〙 は・ゆ 〘自ヤ下二〙 生じる。草木などの成育の初期として、地表や根茎などから芽や根などが出る。萌(も)える。生(お)う。また、ひげや歯などが、表面に現われてくる。
※万葉(8C後)二・一九六「打橋に 生ひををれる 川藻もぞ 枯るれば波由流(ハユル)
※尋常小学読本(1887)〈文部省〉四「どうして、かく大なる角の、吾が頭にはえたるぞ」

はや・す【生】

〘他サ五(四)〙 (「はやす(栄)」と同語源)
① 生えるようにする。おい立たせる。成長させる。伸ばす。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「もりをはやしたらむごとくめぐりておひつらなれり」
※俳諧・冬の日(1685)「わがいほは鷺にやどかすあたりにて〈野水〉 髪はやすまをしのぶ身のほど〈芭蕉〉」
② (「切る」ということを忌んで逆にいう語) 切る。
※保元(1220頃か)下「其後は御つめをもはやさず、御髪をもそらせ給はで」
※説経節・さんせう太夫(与七郎正本)(1640頃)下「びんのかみを一ふさはやいておとりあり」

は・ゆ【生】

〘自ヤ下二〙 ⇒はえる(生)

ふ【生】

〘名〙 草木が茂ったり、ある物を産出したりする所。名詞に付けて用いることが多い。「浅茅(あさぢ)ふ」「芝ふ」など。
※古事記(712)中・歌謡「白檮(かし)の布(フ)に 横臼(よくす)を作り 横臼に 醸みし大御酒」

むま・る【生】

〘自ラ下二〙 ⇒うまれる(生)

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世界大百科事典内のの言及

【仏教】より

…また欧米の宗教活動は,日本から伝わった禅,スリランカの大菩提会(だいぼだいかい),およびチベット人移民によるものがおもなものである。
[教祖――釈迦]
 釈迦はヒマラヤ山麓のカピラバストゥを都とする釈迦族の王子として生まれたが,29歳のとき,人生の苦悩からの解脱を求めて出家し,6年苦行の後,35歳にして,マガダ国ガヤー城郊外において菩提樹下で禅定に入り,苦悩の起こる原因と,その克服に関する縁起の理を悟ってブッダ(〈悟れる者〉の意)となった(成道(じようどう))。その後,ワーラーナシー郊外のサールナート(鹿野苑(ろくやおん))において,もと修行仲間だった5人の修行者を相手に,自ら悟った真理(法)を説き,弟子とした(初転法輪(しよてんぼうりん))。…

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