産業競争力強化法(読み)さんぎょうきょうそうりょくきょうかほう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

産業競争力強化法
さんぎょうきょうそうりょくきょうかほう

安倍晋三(あべしんぞう)政権の経済政策「アベノミクス」の成長戦略を具体化するための法律。平成25年法律第98号。日本企業の国際競争力を高めるため、経済成長を妨げているとされる三つの「過」(過小投資、過当競争、過剰規制)を解消し、設備投資の活性化、産業の新陳代謝、規制改革を目標とする。産業再生法を受け継ぐ法律として2013年(平成25)に成立、2014年に施行。集中実施期間(2018年3月末まで)の成果や問題点を踏まえ、2018年には改正産業競争力強化法が施行された。改正法では官民ファンドの産業革新機構を次世代産業の創出・育成に重点投資する産業革新投資機構に改め、同時にアベノミクスで乱立した官民ファンドの統合・集約の受け皿機関と位置づけた。
 同法施行後2017年末までに、設備投資の活性化では、産業革新機構を通じて1兆0479億円の投資を実施。約310億円の認定ベンチャー・キャピタル基金を組成し、1379自治体の創業支援事業計画を認定した。この結果、設備投資は2014年の63兆円から2017年には70兆円に増えた。ただ研究開発型ベンチャーやユニコーン(企業価値10億ドル以上)とよばれる大型ベンチャーへの投資は不足しており、改正法では産業革新機構を産業革新投資機構に改組してイノベーションを支援する官民ファンドと位置づけ、設置期限を9年間延長した。また産業革新投資機構に官民ファンドの受け皿機能をもたせ、クールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)などとの集約を検討する。産業の新陳代謝については、過当競争・供給過剰に陥った業界の実態を調査し、2017年8月末時点で合計48の事業再編計画を認定して再編を促進した。改正法では、手元資金に余裕のない新興企業でも大型買収がしやすくなるための自社株対価の手法や、資本関係のない別会社へ特定事業を円滑にスピンオフする手法を、会社法の特例措置として盛り込んだ。国の情報技術管理指針に沿って情報漏洩(ろうえい)対策を進めた企業を認証する制度も創設し、情報技術の発達に対応した経営手法の導入を促す。規制改革では、新規事業を行う企業に実験的に企業単位で規制緩和を認める「企業実証特例制度」を2017年末までに11件認定。民間企業が新規事業に進出する際、あらかじめ既存の規制に抵触するかどうかを原則1か月以内の短期間で確認できる「グレーゾーン解消制度」も116件に適用した。[矢野 武]

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デジタル大辞泉の解説

さんぎょうきょうそうりょくきょうか‐ほう〔サンゲフキヤウサウリヨクキヤウクワハフ〕【産業競争力強化法】

低迷が長引く日本の産業を持続的発展の軌道に乗せるため、競争力の強化に関する施策を総合的かつ一体的に進める目的で定められた法律。平成25年(2013)12月成立。
[補説]第二次安倍内閣が掲げるアベノミクスで「第3の矢」とされる日本再興戦略を実行するためのもので、企業単位での特例的な規制緩和や、ベンチャー投資・事業再編・先端設備投資等の促進を図るための制度の創設などが盛り込まれている。

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