( 1 )春の七草の「仏座(ほとけのざ)」は、一般にはタビラコであるとされている。しかし、「壒嚢鈔‐一」「至宝抄」「伽・七草草紙」などには「仏の座」の名とともに「たびらこ」の名も挙げられている。「仏座」が現在のタビラコに当たるとするならば、この「たびらこ」が何に当たるかが問題となろう。
( 2 )「仏座」をタビラコに当てるのは「日本歳時記‐一」の「七種菜(ななくさな)といふは、歌に、せりなづな五形はこべら仏乃座すずなすずしろこれぞ七くさ。〈〈略〉仏の座とは俗にいへるかはらけなといふものなり〉」という記述と、①の挙例「大和本草‐五」とに見えるが、随筆「古今沿革考」には「七種〈略〉車前車〈ほとけの座 おほばこ〉」としてオオバコの図が描かれている。
( 3 )「年中故事要言」に「七種菜〈略〉たびらこは、はこべなり」としてハコベに当てるが、前記の「壒嚢鈔」には「田びらこ」以外に「蘩蔞」が挙げてあり、一概に断定はできない。
( 4 )①の挙例「大和本草‐五」の「黄瓜菜」は「ニガナ」の漢名で、「大和本草批正」では「黄瓜菜 にがなと訓ずべし〈略〉たびらこは鶏膓草なり」としている。
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
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