(読み)たなご

精選版 日本国語大辞典 「鱮」の意味・読み・例文・類語

たなご【鱮】

〘名〙
① コイ目コイ科淡水魚。体長七~八センチメートル。体形フナに似ており、口辺には一対の短いひげがある。背方は暗褐色で腹面は銀白色を帯び、体側に黒青色の縦帯が走る。春の産卵期には雄の腹部が赤く、しりびれが白くなるなどの婚姻色がみられる。雌は長い産卵管カラスガイやタガイなどの出水管にさしこんでその鰓(えら)の中へ産卵する。東北地方の太平洋側および関東平野の浅い湖沼や用水などに分布。付着藻類や小動物を食べる。佃煮(つくだに)などにして食用とする。にがぶな。ぼて。ぼてじゃこ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※俳諧・虚栗(1683)上「月を濁す汀の蓼を芦刈て〈嵐蘭〉 浪のさざれにたなご釣影〈執筆〉」
② コイ科タナゴ亜科に属する魚の総称。日本にはタナゴを含めて一五種および亜種がある。
③ =うみたなご(海鱮)〔魚〕〔本朝食鑑(1697)〕
④ 「おたまじゃくし(御玉杓子)②」の異称。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「鱮」の意味・読み・例文・類語

たなご【×鱮】

コイ科タナゴ亜科の淡水魚。全長約10センチ。体は細長く、一対の口ひげは短く、背部は暗褐色、他は銀白色。産卵期の雄は背部から腹部にかけ青緑色から淡桃色、黒色に変わる婚姻色を示す。関東・東北地方の平野部の川や沼にすむ。食用。
コイ目コイ科タナゴ亜科の淡水魚の総称。産卵管を二枚貝の排水管に挿入し、内部のえらに卵を産みつけ、稚魚孵化ふか後しばらく貝の中で成長したのちに外へ出る。産卵期の雄には美しい婚姻色を示すものが多い。アジア・ヨーロッパの温帯に広く分布し、日本にはタナゴ・ヤリタナゴゼニタナゴバラタナゴなど15種が知られ、イタセンパラミヤコタナゴ天然記念物
ウミタナゴ別名

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

動植物名よみかた辞典 普及版 「鱮」の解説

鱮 (タナゴ)

学名Acheilognathus limbatum
動物。コイ科の淡水魚

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android