田束山(読み)たつがねやま

日本歴史地名大系 「田束山」の解説

田束山
たつがねやま

町域北西部、本吉町との境界に位置し、標高五一二・四メートル。本吉郡南部沿海地帯の最高峰で、山容も美しい。山の形が竜の伏す様に似ていることから、たつがねやま・竜峰山・りゅうほうざんともよばれる。古くから霊山として知られ、「一山寺院」の伝承がある。「歌津村安永風土記」は龍峯山と記し、「馬籠村安永風土記」は田束山として、高さ・広さ・見晴しを記している。「観蹟聞老志」は田束嶺と記し、「東北海浜之大嶽也」と記したうえで山上寺院の由来を詳述する。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「田束山」の意味・わかりやすい解説

田束山
たつがねやま

宮城県北東部、気仙沼市(けせんぬまし)と南三陸町(みなみさんりくちょう)の境界にある山。北上高地(きたかみこうち)の南部にあたり、標高512メートル。安元(あんげん)年間(1175~1177)平泉(ひらいずみ)の藤原秀衡(ひでひら)が、山頂羽黒(はぐろ)山清水(せいすい)寺、山腹に田束山寂光寺、保呂波(ほろは)山金峰(きんぶ)寺を建立し、七堂伽藍(がらん)、七十余坊を造営したといわれる。葛西(かさい)氏、伊達(だて)氏にも崇敬されたが、山火事により荒廃し、礎石や石仏、経塚などを残している。登山道が完成し、太平洋岸の眺望がよく、三陸復興国立公園(旧、南三陸金華山国定公園)の一部。

[長谷川典夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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