普及版 字通 「甲(漢字)」の読み・字形・画数・意味
甲
常用漢字 5画
[字訓] よろい・かぶと・きのえ
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[その他]
[字形] 象形
卜文・金文に十字形に作るものがあり、もと亀甲の(さ)けている形に象るものであろう。〔説文〕十四下に「東方の孟(はじ)めなり。昜(陽)气(やうき)動す。木の孚甲(ふかふ)(若芽)を戴くの象に從ふ」と、五行説を以て解するが、小篆の字形によって説くもので、字の初形に合わない。また一説として「甲は人頭に象る」、また古文の字形について「十に始まり、千に見(あら)はれ、木にるの象」とするが、卜文・金文の字形よりいえば、亀版の中央を走る千里路と、これに交叉する横の縫線(ほうせん)をとるもので、まれに田字形に作るものがあるのは、亀版の全形を加えたものであろう。すなわちその甲羅の形。それより、甲冑・甲衣の意となる。十干においてその首にあり、五行では甲乙は木、甲はすなわち「木の兄(え)」という。乙は獣骨の象。十干は対待五組で構成され、甲乙は亀甲・獣骨を組んだものとみられる。
[訓義]
1. かめの甲、こうら。
2. よろい、かぶと、武装、よろい武者。
3. から、草木のさや、ころも。
4. あたま、されこうべ。
5. 五行の首、きのえ。
6. はじめ、もと。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕甲 與路比(よろひ) 〔字鏡集〕甲 キノエ・ツメノコフ・ツメ・マサル・カサナル・ヨロヒ・ナレタリ・ナラヘリ・スグレタリ・ユクオト
[声系]
〔説文〕に甲声として・狎・閘・匣など六字を収める。・匣は、亀甲がものを蔵する意をとる字である。
[語系]
甲keap、介keatは声義近く、甲冑の類をいい、また介虫の類をいう。・匣heapは甲の声義をとり、篋khyap、函hamも声義に通ずるところがあって、一系をなす語である。
[熟語]
甲子▶・甲冑▶・甲衣▶・甲乙▶・甲貨▶・甲科▶・甲械▶・甲鎧▶・甲革▶・甲殻▶・甲干▶・甲館▶・甲観▶・甲騎▶・甲妓▶・甲魚▶・甲金▶・甲庫▶・甲札▶・甲士▶・甲車▶・甲舎▶・甲首▶・甲楯▶・甲匠▶・甲裳▶・甲帖▶・甲仗▶・甲姓▶・甲族▶・甲第▶・甲▶・甲頭▶・甲馬▶・甲部▶・甲兵▶・甲縫▶・甲榜▶・甲門▶・甲夜▶・甲葉▶・甲▶・甲令▶
[下接語]
鞍甲・衣甲・偃甲・戈甲・花甲・科甲・華甲・芽甲・介甲・解甲・魁甲・蟹甲・鎧甲・甲・亀甲・旗甲・機甲・弓甲・巻甲・堅甲・犀甲・甲・首甲・戎甲・蜃甲・精甲・全甲・組甲・装甲・帯甲・甲・短甲・鉄甲・甲・披甲・伏甲・兵甲・弊甲・甲・保甲・里甲・甲・練甲
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報