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『旧約聖書』のモーセ五書に続く第六書。エジプトでの奴隷状態から脱出したイスラエルの民が、指導者モーセの死後、その後継者ヨシュアに率いられてヨルダン川を渡り、神が与えると約束した地カナーンに侵入、町々を攻略して占領し、土地を12部族間で配分した経緯を物語る。構成は、ヨルダン渡りとカナーン征服(1~12章)、部族間の土地配分(13~21章)、ヨシュアの遺訓(22~24章)。この書によれば、占領は徹底的破壊によるもので、占領地では人も家畜も皆殺しにする「聖戦」の形をとっている。しかも、たとえばエリコの戦いでは、軍隊と祭司が町の周囲を行進し、7日目にラッパにあわせて大声をあげるとたちまち城壁が崩れ落ちた(6章)とあるように、奇跡的大勝利が描かれている。しかし、このような記述は客観的史実というよりは、後代の宗教的立場からの教訓的意図により、歴史を理想化し図式化したものであろうと考えられている。
[清重尚弘]
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