衣服の合せ目を結び合わせたり,留めたり,つないだりするための用具。紐,ピン,ブローチ,バックル,フック,ボタン,スナップ・ボタン,ファスナーなどがある。古代エジプト人は留具を用いず衣服の端を結び合わせたり,紐を使って固定した。古代ギリシアではキトンをフィブラと呼ばれる留具で留めていた。デンマークの青銅器時代の遺跡からは,装飾のある安全ピン状の青銅製ブローチやピンが出土している。革帯(ベルト)は中央アジアの遊牧民にその起源が求められ,中国やケルト族などにも及び,その留具として鉸具(かこ)が用いられた。中国では前代に用いられた帯鉤にかわり,漢代から盛行する。ボタンは13世紀に作られ,チュニックの衿や袖口に使われてぴったりした衣服の着脱を容易にした。近世のプールポアンやジュストコルなどの男子服には,ボタンは装飾のためにも欠かせず,金属,宝石,貝,布,木など多様な材料で作られた。衣服が袖,身ごろ,スカート,胸衣など別々に着用されるようになると,これらを留めるためにピンやフックが使われ,19世紀半ばにはアメリカで機械生産された。世紀末にはドイツ人に凹凸のあるスナップ・ボタンが発明された。ファスナーは同じころにアメリカ人により発明され,ジッパー,チャックとも称された。
執筆者:池田 孝江 日本では鉸具や帯とともに,中国からもたらされた蜻蛉頭(とんぼがしら)と称する,組紐をさまざまな形にして一方の紐の輪(受緒(うけお))にかけて用いる留具が使われてきた。これはそれぞれ雄紐,雌紐とも呼ばれ,雄紐は他に,しゃか結び,雌紐にはあげまき結び,けまん結びなどが用いられた。近世の筥迫(はこせこ)や袋物には留金が,紐結びであった足袋には動物の骨や角,のちには金属の鞐(こはぜ)がつけられた。
執筆者:山浦 澄子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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