翻訳|fastener
留めかぎの総称。ボタン,スナップ等も含まれるが,日本では一般にスライドファスナー(滑り式留め具)を指す。布テープに植えた務歯(むし)と,務歯をかみ合わせるスライダーからなる。務歯の材質には金属性と樹脂製がある。1891年アメリカ人W.ジャドソンが,靴のひもを結ぶ不便さを解決しようと考案したのがその始まりとされている。93年のシカゴ万国博覧会にこれが出品されると,L.ウォーカーが着目し,ユニバーサル・ファスナー社を設立した。さらにその後スウェーデン生れの技術者G.サンドバックと組んで研究を重ね,1917年,現在に近い形まで改良した。当初は財布に用いられる程度であったが,21年ころグッドリッチ社がジッパーという名称でオーバーシューズに取り入れ,好評を博してからアメリカではジッパーという呼び方が定着,30年以降は衣服に用いられ需要が拡大した。日本で最初にファスナーが生産されたのは1927年ころで〈チャック印〉の商標で売り出された。チャックはきんちゃく(巾着)をもじったといわれている。当時は手で務歯を綿テープに植えつける手工業であったが,50年にアメリカ製の自動植付機が輸入され,続いてスライダー自動製作機の整備もできて,以後本格的な量産が始まった。59年に樹脂ファスナーが出現,その軽さ,染色性のよさから服装界に急激に浸透した。今日では産業資材としての用途も広く,80年の国内総生産量は約95万km,そのうち53.3%が樹脂製である。
執筆者:南本 珠己
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
テープ状の開閉式留め具、スライド・ファスナーの略。「チャック」「ジッパー」の呼び名がある。左右のテープの内側に務歯(むし)(かみ合せ部分)を並べてつけ、スライダー(引き手)を上下して開閉する。アメリカで1891年に発明され、改良を重ねて今日の形に近いものが完成したのが1917年。日本では1934年(昭和9)に国産化されて以来、日本製ファスナーは輸出産業の一つになるまでに発展している。第二次世界大戦後は金属ファスナーにプラスチック・ファスナーが加わり、色数も種類も豊富になった。特殊なものでは、スライダーが外れて左右に分離するタイプ、務歯の見えないタイプがある。
[平野裕子]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…ファスナー,アルミ建材メーカーで,YKKと表記。1934年,吉田忠雄(1908~93)によりファスナー製造のためのサンエス商会として東京日本橋に設立。…
※「ファスナー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新