疲れる(読み)ツカレル

デジタル大辞泉 「疲れる」の意味・読み・例文・類語

つか・れる【疲れる】

[動ラ下一][文]つか・る[ラ下二]
体力気力を消耗してその働きが衰える。くたびれる。「働きづめで―・れる」「神経が―・れる」「生活に―・れる」
長く使ったために物の質や機能が悪くなったり弱ったりする。「―・れた油」「―・れた上着
飢える。
「既に峰にて―・れ給ふ」〈景行紀〉
[用法]つかれる・くたびれる――「さんざん動き回ったので疲れた(くたびれた)」のように、体の疲労をいう場合には相通じて用いられる。◇「細かい字を読んで目が疲れた」「神経が疲れる」のように全身の疲労でない場合や、「旅に疲れる」「人生に疲れる」のようにやや抽象的に用いる場合は、くだけたいい方である「くたびれる」はあまり用いないのが普通。◇「疲れた油」は、長く使って品質が落ちたこと。「くたびれた服」は、古くなってよれよれになった形状をいう。◇類似の語に「へばる」「へたばる」がある。「へばる」は疲れ切った状態をいい、「へたばる」は疲れが重なってもう動けないような状態をいう。いずれも俗語的表現。「相当へばっている」「暑さと疲れで、とうとうへたばってしまった」
[類語]くたびれる疲れ果てる疲れ切るだるいかったるいしんどい気骨が折れる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「疲れる」の意味・読み・例文・類語

つか・れる【疲】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]つか・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
  2. 体力が弱る。くたびれる。気力が衰える。
    1. [初出の実例]「見まく欲り吾がする君も有らなくに何しか来けむ馬疲(つかるる)に」(出典:万葉集(8C後)二・一六四)
    2. 「其の鬼、走り疲(ツカレニテ)、祭の食を見て(おもね)りて就きて、受く。〈国会図書館本訓釈 疲 都加礼爾弖〉」(出典:日本霊異記(810‐824)中)
  3. 飢える。
    1. [初出の実例]「峯(みね)に逮(およ)いて飢(ツカレ)たまふ」(出典:日本書紀(720)景行四〇年是歳(北野本訓))
  4. 長く使ったために、その物の質や働きが低下する。くたびれる。「疲れた油」

疲れるの語誌

( 1 )「万葉集」「古事記」に「羸」「疲」「労」を用いてツカルを表記したと推定される例があり、病気老い、飢え、疲労などによって人や生き物が衰弱することを表現している。これに対してオトロフは対象や程度を選ばないで用いられる。
( 2 )平安時代では漢文訓読語が上代の意味用法をほぼ引き継ぐのに対して、同じ意味領域を和文ではヨワル、コウズ、オトロフで表現し、ツカルは散見する程度である。
( 3 )中世以降はヨワル、ツカル、オトロフが用いられるが、病気や老いによるツカルは姿を消し、ほぼ現在のツカレルに等しくなったと推定される。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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