病理医(読み)ビョウリイ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「病理医」の意味・わかりやすい解説

病理医
びょうりい

医療施設や研究所で組織診断、細胞診断(細胞診)、病理解剖などの病理診断病理学的診断)を専門に行う医師。

 組織診断では、内視鏡検査で採取された病変部の組織片や手術により切除された組織(手術材料)から標本をつくり、顕微鏡で見て診断を確定するとともに、病気の進行度や治療効果の判定などを行う。手術が行われている間に組織診断を行い、最終的な術式を決める「術中迅速診断」にもかかわる。

 細胞診断では、生体の一部から剥離(はくり)した細胞や病変部から採取した細胞から標本をつくり、光学顕微鏡で見て診断する。剥離した細胞を集めて検査する剥離細胞診、針を刺して直接的に細胞を吸引する穿刺(せんし)吸引細胞診、綿棒などを用いて細胞を採取する擦過細胞診などがある。

 病理解剖では、病院で死亡した患者を遺族の同意を得て解剖し、死因や病変の状態の解析、治療効果の判定などを行う。

 病理医の資格には、一般社団法人日本病理学会が認定する「病理専門医」がある。専門医制度により広告が認められた専門医の一つであり、医師免許取得後に日本病理学会が認定する研修施設で4年以上の研修を行った後、専門医試験(筆記実技)に合格した医師が認定される。認定者数は2013年(平成25)9月時点で2232名。病理診断はほぼすべての臨床科と関連し、重要な役割を担っているにもかかわらず、病理医の数は不足している。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の病理医の言及

【病理学】より

…しかし,剖検,生検(手術によって取り出された組織材料などの検査)に際しては,臨床医の診察のときと同じように,患者の諸病歴,検査成績などが必要であることをみればわかるように,実地の病理学は,むしろ,臨床医学の一分野を担っているというべきである。現に,アメリカ医師会医師分類では,病院におけるpathologist(病理学者あるいは病理医)を,患者診療に直接たずさわる医師として扱っている。このような診療に関係をもつ病理形態学の領域は,とくに〈人体病理学〉と呼ばれ,その修練には,多大の年月を要する専門分野となっている。…

※「病理医」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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